元日の午後4時10分、石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震が発生し、13日までに220人の死亡が確認された。地震調査委員会の予測データでは当地の大地震発生確率は「3%未満」としていただけに、今後どこで大災害が起きても不思議ではない。来たる日に備えるためにも「悪魔の爪痕」を追跡調査した。
地震発生を何とかやり過ごしても、命の危機は続く。今回の能登半島地震では、津波による被害も含めて多くの犠牲者を出したが、その後も最強寒波が被災者を容赦なく襲う‥‥。この時期だからこそのサバイバル術を身につけておかねばならない。
11年の東日本大震災を受けて気象庁のお墨付きを得て沖縄・八重山地方防災連絡会が改訂した「津波防災マニュアル」では、特に津波被害を警戒すべき沿岸に居住する住民について、
〈直ぐに近くの高台あるいは鉄筋コンクリート建物のなるべく高い階に一時避難してから避難情報を確認〉
と記している。津波の懸念が強い地震では、何よりもまず迅速な避難が重要であるということだ。防災に詳しいジャーナリストの村上和巳氏が言う。
「実際に地震や津波が起きた時に準備していた防災バッグを持ち出せる、冷静な判断ができる人は、案外少ない。手元にある普段使いのカバンに、避難生活に役立つものを常に入れておくことをお勧めします」
グラグラと揺れる中、防災バッグを探すうちに家屋の下敷きになってはも子もないし、地震が在宅時に起きるとは限らない。では、その後の避難生活をサバイブするために、何を携行すべきか。村上氏が続る。
「何から何まで防災グッズを入れて、カバンを常にパンパンにしておけ、ということではありません。例えば私が携行しているのはまず、アルミ製の非常用寝袋です。これは折りたためば、パスポート2冊分くらいの大きさなのに、保温性が非常に高い」
値段もネット通販などで、安いものは数百円レベルで購入できる。アルミは熱を反射するため、床や地面に体温が奪われるのを防ぐのだという。
「避難所では備蓄品の毛布の配給もありますが、今回ほどの寒波が起きれば、心もとないケースがあるかもしれません。津波から逃れて体が濡れることもあるでしょうし、低体温での体力低下を防ぐ、という意味では、最強のアイテムと言っていいと思います」(村上氏)
続いての必需品は、現代人ならではのものだ。携帯電話のモバイルバッテリーである。令和の時代において被災者が情報を得るのは、ラジオよりも圧倒的にスマホだからだ。
「日常から持ち運びできるなら、ある程度大容量で、複数回充電できる補助バッテリーが望ましいです」(村上氏)
地震発生直後は停電の可能性も高まる。スマホの情報は命綱、充電切れでただの板にしてはならない。