自分の過去の過ちを顧みず他者批判することを、ネットスラングで「ブーメラン」という。
元自民党東京都連会長の石原伸晃氏と元宮崎県知事の東国原英夫氏が見事な「大ブーメラン芸」を見せた。
1月16日の「ミヤネ屋」(日本テレビ系)に登場した石原氏は自民党の裏金事件に関連した政治刷新本部に言及すると、次のように豪語した。
「僕は金儲け、金集めのために政治家を目指したわけじゃない」
だが、石原氏が支部長を務めていた東京都自民党第8選挙区支部が、新型コロナで休業を余儀なくされた困窮事業者向けの雇用調整助成金を受領していたことは、昨年12月14日付の本サイトで紹介した通り。この「コロナ雇用調整助成金」の審査に落ちた個人事業主は今も「貸付金」を返済させられている上に、インボイス制度で100円単位まで「売上の1割」を納税させられている。
芥川賞作家で元東京都知事の石原慎太郎を父に、昭和の大スター裕次郎を叔父に持ち、門から自宅玄関が見えない豪邸暮らしの元おぼっちゃま議員なのだから、自民党幹部という権力を濫用して納税者の血税を貪るような、セコイ真似をしなくてもいいだろう。おまけに同番組で共演した元明石市長の泉房穂氏から
「国民の生活が苦しい時に、自民党は何やってるんだ」
などと問われて、
「失礼ですよ初対面の相手に」
と薄ら笑いするリアクション。「国民の生活は苦しいんですか」と茶化すような言動が、さらに視聴者を逆撫でする。身内の自民党員のアカウントからも「伸晃が話せば話すほど、自民党議員が国民のために政治家になったんじゃないとバレる」とダメ出しされ、Xでは「石原伸晃」がトレンド入りした。
さらにX上では、東国原氏がダウンタウン・松本人志の性加害疑惑を報じた「週刊文春」が完売したことに触れて、〈ネットニュースだけでも単純計算2億円以上。仮に名誉毀損裁判で敗訴しても、損害賠償相場額は最高200~300万円。書き得。損害賠償額を高額にすべき〉と書き込むや、Xユーザーから返す刀で「FRIDAY」にスッパ抜かれた不倫ベッド写真のリプを返され、笑いを誘う展開に。
東京都のとある区議がため息をつく。
「石原さんも東国原さんも、言ってることは暴論。もう政界復帰は諦めて、元政治家のタレントとして全うするつもりなんでしょう。ところが知名度があるだけで、経済政策や国際問題、防衛問題を語れない。テレビ局は面白がって使うでしょうが、自民党のイメージダウンにいいように使われたあとで、バッサリ切られるのがオチでは」
悪名は無名に勝るとはいっても、誰も見向きもしなくなったら終わりだ。