サッカーアジア・カップに参戦中の日本代表(世界ランク17位)が、イラク代表(同63位)に1次リーグ第2戦で1-2と完敗した。
森保ジャパンは歴代最多となる10連勝中だったが、相手のフィジカルの強さに圧倒された格好。まさかの敗退に「僕の責任もある」と珍しく弱気な言葉が続いたのは久保建英である。
この試合で森保一監督は久保を攻撃の軸となる「トップ下」で先発に起用。「所属チーム(レアル・ソシエダード)で見せてくれるような勝利を決定づける仕事をしてほしい」(森保監督)という期待を込めてのものだった。
トップ下は本来、久保の「本職」であるポジションだ。しかし結果は散々だった。久保にはフィジカルの強いイラクのDF陣が常に2枚マークがついた。それを強引に振り解くパワーは久保にはなく、自慢のテクニックで両サイドにかわす動きは見せたものの、同じ2列目の南野拓実(モナコ)、伊東純也(スタッド・ランス)のプレー範囲と被ってしまい、日本の自慢のサイド攻撃が封印された形になった。
「レアル・ソシエダードで久保が輝いているのは、試合の全てを久保に任せているからにほかならない。『王様プレー』でよしとしているからです。しかし代表ではそうはいきません。多くの約束事の上でプレーしなければならない」(日本代表OB)
久保本人も森保ジャパンでのやりにくさを実感している。イラク戦の試合後には「正直、崩せている感覚がなかった」と完敗を認めていた。負けた責任はもちろん森保監督にあるが、久保のチーム序列は一番手(主力組)という評価ではない。全勝優勝を狙っていた森保監督は決勝トーナメント進出まで故障でリハビリ中の三笘薫(ブライトン)を温存する形で1次リーグはチームローテーションを組む「ターンオーバー制」で臨んでいた。
「久保はかつて代表のエースだった中田(英寿氏)や本田(圭佑)と比べると明らかに線が細い。ひ弱ですよね。アジアでこの程度だと、本人が希望するレアル・マドリードへの復帰は茨の道ですよ」(代表担当記者)
久保で勝ち切るはずのイラク戦を落としたことで、森保ジャパンではますます起用しづらい選手になった。
(小田龍司)