連日テレビで報じられる能登半島の被災地の光景は、47都道府県どこにいようと決して他人事ではない。これも〝地震大国ニッポン〟に生まれた宿命だと肝に銘じておくべきだろう。「すわ! 地震だ!」と慌てふためかないようまさかの窮地にこそ知っておくべき15の疑問に解答する。
まずは愕然としてしまうような数字から––。
内閣府のサイトにある「防災情報のページ」中、「もしも災害が起こったら‥‥住宅・生活再建にはこんなにお金がかかる」の項目を見ると、東日本大震災で全壊被害にあった住宅の新築費用が平均約2500万円だったのに対し、公的資金で受給できるのは、善意の義援金を合わせても「約400万円にとどまりました」との記載がある。これではまったく足りないではないか! 老後に必要な資金が2000万円と言われる現在、災害で住宅が全壊してしまえば、さらに2000万円が必要となるのだ。
まさに目の前が真っ暗になる思いだが、転ばぬ先の杖、改めて「震災とお金」について、ここで確認しておこう。解説願うのは、ファイナンシャルプランナーで震災についての著書もある清水香氏だ。
Q1 被災したら最初にすべきことは?
「まず地震など一定程度の被害があった地域には災害救助法が適用されて、行政により応急的に、必要な援助が行われるようになります。避難所の設置や炊き出しなど、一言で言えば、人が生きていけるような措置を施す法律ですね。その後、ある程度落ち着いたら生活再建にかかるわけですが、実は被災したらまず最初にやっておくべきことが、被害状況の記録なのです」
被災して住居や家財に損害を受けた場合、請求に基づいて公的支援や保険を受け取れる可能性がある。この公的支援を受けるためには「罹災証明書」の交付を受ける必要があるが、被害割合が50%以上の「全壊」から10%未満の「一部損壊」までの6段階に被害状況が区分され、受け取れる金額に差が出てくる。記録をしないまま片づけなどをしてしまうと、後々、受け取れる金額が少なくなってしまうかもしれないので、いったん気持ちを落ち着けて、ぜひとも写真を撮るなどして被害記録を残しておきたい。
Q2 住宅が壊れたらいくらもらえる?
「被災者が生活再建するには、住むところがないといけません。そこで1市区町村で10世帯以上の住宅全壊等があった地域には、被災者生活再建支援制度が適用され、住宅全壊世帯等は最大で300万円の支援金を受け取ることができます」
内訳は、基礎支援金100万円に加算支援金200万円となる。が、もちろん被害が最大程度の場合で、段階的に金額は引き下げられる。単身世帯の場合は4分の3だ。これが浸水被害を受けた木造住宅だと「床上1.8メートル以上」が全壊で100万円、「1メートル以上」で50万円だが、それ以下では支援なしと、シビアな現実が待っている。
また実際に住むことができて始めて住居だ。そこで居室・キッチン・トイレなど、日常生活に最小限必要な場所の損害には「応急処理制度」がある。被害程度が5段階目の「準半壊」で34万3000円以内、それ以上で70万6000円の修繕を受けられる。
Q3 他にもらえるお金はあるのか?
それ以外にも自治体によって独自の支援策がある。国の制度で支援が受けられない場合もあるので、独自な支援は知っておきたいところ。例として、秋田県の全壊60万円、埼玉県の全壊・解体・長期避難300万円などがある。