サッカー・アジアカップで日本がグループリーグ2位になったことにより、決勝トーナメント1回戦で実現する可能性が一時的に高まった「日韓戦」。日本の試合の翌日、韓国がグループE組の2位になったことで、優勝候補の日本と韓国が16強で早くも激突するという事態は避けられた。この結果によって日本と韓国が対戦するのは決勝戦までない。
16強での日韓戦がなくなったことに両国のサポーター、マスコミがほっと胸を撫で下ろしている。日本と韓国ともにグループリーグではもたついたが、戦力を見れば圧倒的な優勝候補。お互いに早い段階で対戦するのは避けたいというのが本音。特に日本のサポーターは、できれば日韓戦をやりたくないという気持ちが強い。忘れられないのが、2011年のアジアカップカタール大会での日韓戦だ。
日本は準決勝で韓国と対戦。1-1でPK戦に突入し、日本がGK川島永嗣の活躍でPK戦を制して決勝へと駒を進めた。この試合で問題シーンが飛び出したのである。サッカー誌記者はこう振り返る。
「前半23分、韓国のキ・ソンヨンがPKを決めた後、鼻の下を伸ばして猿の顔まねと思われるゴールパフォーマンスをしました。韓国では日本人を猿に揶揄して差別することがあり、そのパフォーマンスは日本人に対する侮辱ではないかと問題になりました」
試合後、日本サッカー協会は韓国サッカー協会に抗議。韓国サッカー協会は日本人に対するものではなく、キ・ソンヨンが当時プレーしていた欧州で人種差別を受けたことで、欧州の人に向けて行ったものだと説明して謝罪。日本サッカー協会はこれを受け入れた。
ところが、キ・ソンヨンが自身のツイッター(現X)で、日本人がスタジアムで掲げていた旭日旗を見て腹が立ってやったとコメント。ネットウォッチャーは言う。
「これをきっかけに韓国のネチズンの間で、旭日旗を戦犯旗だとして問題視するようになりました。以降、旭日旗に似た柄にまでクレームをつけるようになった。旭日旗を問題視する流れは今も続いています。そのきっかけになったアジアカップ日韓戦は、日本人サポーターにとって思い出したくもない試合です」
日韓の交流と理解が進んだ今では、このような問題が起こるとは思えない。ともに決勝まで勝ち進んで、頂点を決める試合で素晴らしいプレーをしてほしい。
(鈴木誠)