2月4日投開票の京都市長選は自民党、公明党、立憲民主党などが推した元官房副長官の松井孝治氏が、共産党の支援を受けた元京都弁護士会副会長の福山和人氏らを抑え、初当選した。
共産党にとっては1月の党大会で23年ぶりにトップが交代し、新委員長となった「タムトモ」こと田村智子参院議員の事実上の初陣と言ってよく、勝つチャンスがあっただけに、手痛い敗北となった。
選挙戦では当初、野党票は元京都市議の村山祥栄氏にまとまり、「松井VS村山」の構図となることが予想された。ところが告示直前に、村山氏が架空の政治資金パーティーを開催していた疑惑が浮上し、日本維新の会や地域政党・京都党などが推薦を取り消した。そこに浮上してきたのが丸山氏だったのだ。
京都は共産党にとって多くの地方議員を抱える「牙城」ともいえる土地柄であり、党内では政令指定都市のひとつである京都市での勝利への期待が高まった。ところがこれに影を落としたのが、パワハラ問題だった。
共産党京都府委員会常任委員会は昨年2月、京都南地区委員会に所属していた元党本部職員の松竹伸幸氏が党首公選制導入などを主張したとして、除名処分にした。1月の党大会では神奈川県議の大山奈々子氏がこの問題を取り上げ、党の対応に疑問を呈した。
これに対し、田村氏は答弁に立つと、党外の声に依拠しているとして「あまりにも党員としての主体性、誠実さを欠く発言だ」と大山氏を激しく叱責。さすがにこの発言に対し、党内外から「パワハラ」との非難が出ていた。
機関紙「しんぶん赤旗」で自民党の政治資金パーティー問題を追及し、勢いに乗る共産党だが、党の体質を変えないことには、支持が広がることはないだろう。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)