日本卓球協会が2月5日に発表したパリ五輪日本代表の「3人目」の焦点は、伊藤美誠が選出されるか否か、この1点だった。ところがフタを開けてみれば、五輪選考ポイント数でも世界ランキングでも下位の張本美和が「当選」したのだ。テレビ局スポーツ担当プロデューサーが、騒動の裏側を明かす。
「会見後に女子の渡辺武弘監督を報道陣が囲むと、伊藤に対しては『日本の宝』と最敬礼していましたが、そうならなぜ選ばなかったんだと周囲は顔を見合わせ、心の中で突っ込んでいましたね。要は新時代のヒロインを誕生させたかったということ。15歳の張本なら、2028年のロサンゼルス五輪ではエースとして活躍できる可能性がありますからね」
もっとも、このプロデューサーが気になったのは、一部マスコミが伊藤の落選をネタに「炎上」させるような質問の振り方を協会側にしていたことだった。例えば、こんな感じだ。
「パリでいちばん勝てる選手と、現時点でいちばん勝てる選手は同義か」
「しつこいようで申し訳ない。国内選考会を含めた選考基準を、伸びしろや国際競争力を踏まえて作ったと思うが、下位の選手を選んで自己矛盾はないのか」
前出のプロデューサーが言う。
「渡辺監督は『張本は国際競争力があって、団体要員として世界に勝てる選手。矛盾はないと思う』と、しどろもどろになりながら答えていました。伊藤と張本、さらに卓球協会の対立構造を煽りたい絵コンテが出来上がっているのか、煽り方が激しかったですね」
様々な思惑が入り混じる会見だった、といえるだろう。