怪文書には、「守衛にばれて」とある。実際、政治部記者はこう話す。
「番小屋から声が漏れて、守衛に気づかれたそうです」
別の政治部記者の証言。
「部屋のドアが閉まっていれば壁が厚いので、声は漏れていないかも。それより番小屋には大きな窓があって、職員もしくは総理大臣補佐官をしていた寺田学衆院議員(42)が現場を目撃したと聞いた」
永田町関係者からは、こんな話も出てきた。
「総理官邸は『ハイテク官邸』として知られるほどセキュリティが厳しい。もしかしたら盗聴されている可能性があるから、記者の詰め所では大事な話をしないというのは、マスコミの間では常識です」
いったい、声の真偽はどうなのか。ますます謎は深まるばかりだが、「発覚」までの経緯は諸説あっても、「ばれたあと」の証言は一致している。
「寺田補佐官が朝日新聞社に抗議した」というのだ。
総理官邸をラブホテル代わりに使われたとしたら、またはそうした噂が立つだけでも、黙っているわけにはいかないだろう。
「当事者」として名前が出た寺田議員は何と答えるのか。質問状を事務所に送ると、
「朝日新聞社に抗議したということはございません」
と回答するのだった。
早くも怪文書が出回る東京選挙区は、超強力なライバルがひしめいている。6年前の選挙でトップ当選した自民党の丸川珠代元五輪相(48)をはじめ、同じく自民の武見敬三参院議員(67)、公明の山口那津男代表(66)、共産の吉良佳子参院議員(36)、れいわ新選組を立ち上げた山本太郎代表(44)ら有力候補者が出馬予定。さらに国民民主党は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員の水野素子氏(49)を新人候補に立てることを決意。その激戦区で立憲は、すでに擁立を発表した塩村文夏元都議(40)と山岸氏のダブル当選を狙って、6つの改選議席を争う。
新人で出馬する山岸氏の政治家としての資質について、「『記者会見』の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)の著者で政治ジャーナリストの安積明子氏はこう評する。
「出馬会見の時、太平洋戦争で夫を亡くした女性の話をしていましたが、政治家ならどのように平和国家を作らなければならないかを主張すべきなのに、それがない。経済政策や福祉政策などの方向性もなく、具体的な政策の一つも語れていない。ただセンチメンタルなものに訴えるのみで、中身がないという印象を強く受けました」
東京で金星を挙げられるかどうかは、この先の伸びしろしだいか。