世界的なエナジードリンクメーカー「レッドブル」がJリーグのクラブ買収に動いていると、スポーツ紙が報じた。報道によると、複数のクラブと交渉し、最終的にJ3の大宮アルディージャとの交渉が順調に進んでいるという。スポーツライターが解説する。
「レッドブルはサッカーをはじめ、モータースポーツやスノーボード、eスポーツなど、多くの競技を支援しています。Jリーグがそのひとつになるのは、日本サッカー界にとっていいこと。巨額の資本が投じられることになれば、Jリーグが盛り上がるのは確実です」
現在はJ3にいる大宮だが、資本の後ろ盾を得てJ1トップクラスのクラブに成長するのも夢ではない。ただ、気になる点もあると、このスポーツライターは言うのだ。
「Jリーグでは、企業の名称をチーム名にすることはできません。レッドブルが大宮を買収しても『大宮レッドブル』に改名することはできないんです。ユニフォームの胸に名前を付けることは可能ですが、これが目的ならわざわざ買収する必要はなく、メインスポンサーになればいい。ユニフォームの色や配色をレッドブルカラーにすることはOKながら、サポーターの反発が心配です。楽天がヴィッセル神戸を買収し、チームカラーを白と黒のストライプから楽天のコーポレートカラーである『クリムゾンレッド』に変えた時は、サポーターに反対されました。レッドブルにとって買収のメリットがあるのかどうか、気になりますね」
サッカーチームの経営は簡単とは言えないのも、気になる点だ。そのいい例が、鹿島アントラーズである。
「鹿島のホームタウンは小さく、資金が豊富とは言えません。それを補うため、的確な補強と育成で強豪の座を守り続けてきました。それを成し遂げてきたのが、住友金属工業(現・日本製鉄)の出身者たち。彼らはサッカーとクラブ経営を、よく知っていました。ところが2019年にメルカリが筆頭株主になるとチームは低迷し、5年連続で無冠に終わっています。大宮もそうならないか懸念されますが、今より悪くなりようがないため、問題ないとも言えますね」(サッカー関係者)
Jリーグに参入するのなら末永くサポートを続けてほしいが、
「スポーツの支援に熱心だった創業者のディートリヒ・マテシッツ氏が2022年10月に亡くなってから、レッドブルはスポーツへの投資にシビアになっていると伝えられています。F1チームのレッドブル・レーシングですら、その存続が話題になったことがありました。2003年に始まった『エアレース』は、2019年に終了。理由は『興味を引くことができなかったから』。とてもシビアなので、Jリーグも費用対効果がよくないとなれば、撤退もありえます」(前出・スポーツライター)
レッドブル・レーシングがF1を代表するチームになったように、レッドブルが買収したクラブは、Jリーグを牽引するビッグクラブになってほしい。
(鈴木誠)