関東は再び中山に舞台が移り、4月14日の皐月賞まで重厚なレースが続く。
その開幕を飾るのは、伝統ある中山記念。1カ月後に行われる大阪杯を目指している馬や、マイル路線を歩む馬も少なくなく、顔ぶれは多彩。例年に比べて頭数もそろいそうだ。
超一流と言える馬は見られないものの、皐月賞馬ソールオリエンス、毎日王冠の覇者でマイルCS4着のエルトンバローズが参戦するだけに、ファン必見の重賞と言っていいだろう。
実績的には前記2頭の4歳勢に目がいくところだが、前走の香港カップで僅差3着に好走したヒシイグアス、マイル路線で頑張り続けているレッドモンレーヴら古馬勢も差はなく、馬券的には難解なレースだ。
まずは過去のデータを見てみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は4回(馬連は2回)。1番人気馬は7勝(2着1回)、2番人気馬は5勝(2着3回)と、人気サイドで順当に収まっているように思えるが、1、2番人気馬によるワンツー決着はわずか1回。簡単なようで、人気どおりには決まりにくいことがわかる。
ただし、年齢的には若くて充実著しい4、5歳馬がよく連に絡んでいる。出走頭数では5、6歳馬が多いものの、4歳馬が7勝(2着6回)を挙げているように5歳馬の6勝(2着6回)、6歳馬の3勝(2着8回)を上回っている。勢いに乗る4歳馬からは目が離せないということだ。
そういう意味でも前記2頭を軽視するわけにはいかないが、穴党として期待を寄せたいのはドーブネだ。
前走の京都金杯は14着と大きく敗れたが、前々走比10キロ増と体重が増えており、明らかに重め残りの状態だった。しかもトップハンデ(58.5キロ)を背負っての競馬だっただけに、参考外と言っていいのではないだろうか。
昨年は人気薄(7番人気)で逃げて3着に粘ったように、コーナー4つの中山芝1800メートルの舞台は、間違いなくこの馬に合っている。今回はテーオーシリウスやショウナンマグマとの兼ね合いがカギになりそうだが、こればかりは相手の出方しだい。とはいえ2、3番手に控えても競馬はできる馬で、要は自分のリズムで運べれば力を十分出せるはずである。
この中間は大きく良化しており、1週前の追い切りもリズムに乗って実にいい動きを披露していた。
武幸調教師をはじめ、厩舎スタッフも「いい雰囲気にある。このぶんなら!」と、口をそろえるほどだ。
血統的にもジオフラ(GⅠファルマスS)など近親、一族に活躍馬が多い欧州の一流血脈。〝一発〟があっても不思議はなく、巻き返しに期待したい。
一方、阪神で行われる阪急杯は、人気の一角、ダノンティンパニーの勝機とみた。前走のニューイヤーS(中山芝1600メートル)は、1番人気に支持されたものの5着。人気を裏切る結果で終わったが、最後の直線で勝ち馬に前をふさがれる不利がすべてだった。
母ライトニングパールはGⅠ勝ち馬で、サトノクラウン(宝塚記念、香港ヴァーズ)を叔父に持つ良血。6歳馬とはいえキャリアは8戦と浅く、良馬場なら勝ち負けだ。