桜が散り、春は燗慢。続くGI戦線は小休止。その谷間に行われるのは、サンスポ賞フローラSだ。関東は東京開催となるが、一段落というわけではない。来週から怒濤のごとくGI戦が6週続く。
このフローラSはオークスの前哨戦。トライアルレース(3着までに優先出走権が与えられる)とあってみれば、しっかりと的中させ、本番を見据えなければなるまい。
恐らく今年もフルゲート(18頭)、もしくはそれに近い多頭数での競馬になるだろう。桜花賞直行組がオークスでも──というケースは多いが、ここから本番で好走するノビシロのある新顔は、これまでにも少なくなかった。とにもかくにも、注目すべき重要な前哨戦であることは間違いない。
ただ舞台は東京の芝2000メートル。中山の芝マイル戦と同様、多頭数になればなるほど内枠の馬が有利になる。というのも、スタート地点が2コーナーのポケット。加速がつくところで急に折れる最初のコーナーがあり、外枠を引いた馬は、ハジかれるなどの不利を被るケースが多々あるのだ。
枠で言うと真ん中より内枠の馬が連に絡みやすい。ペースによるところもあり、外枠の馬が絶対不利とは言わないが、大外枠を克服して勝ち負けする馬は、本番でも既成の強敵相手に上位争いを演じることも少なくない。このへんは頭に入れておいていいだろう。
いずれにしても新興勢力が多い中での争い。枠順のこともあり、簡単には決まらない。
まずはデータをひもといてみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は6回(馬連は5回)。この間、1番人気馬は6勝(2着2回)、2番人気馬は3勝(2着5回)。1、2番人気馬のワンツー決着は4回。堅い時は堅いが、半数以上は人気薄の馬が勝ち負けしており、波乱含みで難解な一戦だ。
桜花賞に出走できなかった馬、遅れてきた評判馬がぶつかり合う一戦。狙いはそのキャリアが浅いものの素質を秘めた評判馬だ。1勝クラスは抽選になると思われるが、最も期待を寄せたいのは、ハーツラプソディである。
未勝利戦を勝ち上がったばかりだが、その内容がよかった。最後は詰め寄られたが、早めに先頭に立ったのでソラを使った(気を抜いた)まで。余裕を残しての勝利だった。
前走後はここ一本に的を絞っての調整。稽古の動きがよく、明らかに状態は上向きだ。
「まだ若さが多分に残っていて成長の余地は十分。それでもセンスのよさを感じさせる馬で、抑える競馬なら、しまいハジけていい。ひ弱さが抜けて使うたびに体がしっかりしてきた」
と、厩舎スタッフは期待のほどを口にする。
ハーツクライが父とあって距離が延びるのは歓迎。祖母デザートストーマーは米GIのBCスプリント勝ち馬で、母系は北米の一流血脈。よほどの外枠があたらなければ、勝ち負けになっていい。
一方、阪神で行われるマイラーズCも混戦ムード。狙ってみたいのは、ザイツィンガーだ。
これまで21戦中20戦が1400メートル以下。マイル戦は7着が1回あるだけで実績はないが、ズブくなった(エンジンのかかりの遅い馬で、道中、騎手が追っつけ通しでないと追走に苦労する)今なら十分対応できていい。
前走は前の馬が壁になって脚を余す格好。強烈な末脚が身上で、一発があっていい。