アサヒビールやサッポロビールが、アルコール度数8%以上の「ストロング系チューハイ」の新商品を、今後発売しない方針であることが発表された。背景に挙げられるのは健康リスクだ。一体「ストロング系チューハイ」がもたらすリスクとはどのようなものなのか。
厚生労働省が定める1日当たりの適度な飲酒量は、男性は20グラム、女性は10グラムの純アルコール量とされている。しかし、500ミリリットル缶の「ストロング系チューハイ」に含まれるアルコールの量は、1本当たり約36グラム。1缶飲むと、男性は1日の限度の1.4〜1.8倍ものアルコールを一度に摂取してしまうことになる。
アルコールの過剰摂取が習慣化することにより、様々な身体的疾患に陥る恐れがある。注意が必要な疾患は「アルコール依存症」「肝機能障害」などだ。これらの疾患と「ストロング系チューハイ」との関係性については、まだはっきりとは解明されていない。しかし非常に高いアルコール度数や、大量に含まれる人工甘味料の影響で、体に負担がかかってしまうことは確かである。
予防には、自分が普段どのくらいのアルコールを摂取しているかを、純アルコール量で確認してみることがオススメだ。その上で、1日に飲むアルコールの適量を決めて実行することがポイントである。
缶チューハイの場合は、プルタブを一度開けると1本飲み切るしかないため、つい飲みすぎてしまいがちになる。
どうしても「ストロング系チューハイ」を飲みたい場合には、1缶を誰かと分け合い、半分の量に控えるなどの対策も考えられる。
それでもコントロールができない場合は、早めに医療機関に相談してみるのも有効だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。