近年の研究によれば、現存する文字はおおよそ約5500年前のものだとされる。そしてそれらの文字を人間に伝えたのは、地球を訪れていた地球外知的生命体、つまり宇宙人だったのではないか。
そんな仮説をもとにした研究本が、アメリカの天体物理学者カール・セーガンとヨシフ・シクロフスキーによる共著「Intelligent Life in the Universe」(1966年出版)だ。
同著には、現在のイラクにあたる古代シュメールに伝わる「オアンネス」という幻獣が、実は宇宙人だった可能性について考察されているのだが、
「シュメール文明は紀元前4500年から1900年にかけて繁栄したとされる、メソポタミア南部史最古の文明。その中にはシュメール人に文明を与えた『神』であり、人間以上の知性を備えたオアンネスという生き物が登場します。紀元前300年頃、バビロニアに存在した大地神ベルの神官であるベロッソスが書いた『バビロニア史』によれば、オアンネスはペルシャ湾から突如として現れた生き物。全身が魚の鱗のようなもので覆われ、頭の下にもうひとつ頭があり、魚の尾とともに人間の足のようなものがついていたといいます。その姿は、あたかも潜水服、あるいは宇宙服を着ているように見えることから、宇宙人説が根強かった」(古代文明研究家)
セーガンらの考察によれば、「オアンネス伝説」はシュメール人の子孫により何世代にもわたって語り継がれてきた。彼らの先祖がなんらかの理由で、「シュメール文明の起源は地球人ではなく、オアンネス」だと考えていたことは間違いないだろう、と。だからこそ、オアンネスの功績を称えるため、あえて粘土板などに描いたのではないかと分析しているのだ。
なお、紀元前14世紀頃のアマルナやアッシュールの時代に出土した粘土板の断片には、大洪水が起こる以前の七賢人の物語が記されている。賢神エアの使者である七賢人の筆頭は「アダパ」という名の半神人だが、前述した「バビロニア史」には、この「アダパ」を「オアンネス」と記載されている。そこも謎なのだという。
はたして古代文明の粘土板に記された、宇宙服を着た謎の生物の正体は何か。壮大な古代のロマンを前に、研究者の夢は無限の広がりを見せている。
(ジョン・ドゥ)