欧米には地球外知的生命体からのメッセージを人類に伝えるとして、発足した団体がある。
1955年にイギリスでジョージ・キングにより設立されたアセリアス・ソサエティーをはじめ、フランス人のクロード・ボリロンが異星人と遭遇したことを機会に1973年に創設したラエリアン・ムーブメント、ほかにもネーション・オブ・イスラムや、ユナリアス・アカデミー・オブ・サイエンス等々。UFOや宇宙人を崇拝し、カルト化した宗教団体も少なくない。
中でもセンセーショナルだったのは、ヘブンズ・ゲートだ。1996年にヘールポップ惑星が地球に接近したことを合図に、翌年3月、教祖であるマーシャル・アップルホワイトとともに、38人の信者が集団自殺を決行した。宗教ジャーナリストが語る。
「これは元音楽教師だった教祖と看護師のボニー・ネトルスが1970年にカリフォルニア州サンディエゴで創設した団体で、信者に対し『マリアが処女懐胎したという聖書の記述は誤りで、UFOによって地球外に連れ出されて、キリストを妊娠させられた』など、キリスト教とニューエイジ思想を融合させた伝道を繰り返し行っていたとされます」
当時、アメリカではSF映画が大ブームだったこともあり、同団体の集会には毎回500人を超える信者が集まったというが、教祖は信者たちに親族や友人との関係を切るよう要求。それを実行できる者だけが天国へ行くことができる、と洗脳した。先の宗教ジャーナリストによれば、
「化粧や着飾ることだけでなく、性行為も禁止し、一部信者には去勢手術を受けさせました。トウガラシなどの原材料を混ぜ合わせた液体を『後ろの穴』から注入するなどして、体内を浄化する儀式を行ってきたとされています」
創設者のひとりであるネトルスが1985年に死去すると、「ネトルスが迎えに来る」として、1996年の惑星接近を機に、集団自殺に及んだというのである。
「彼らは死ぬ前にビデオメッセージを残しているんですが、教団は『肉体は魂が運転する車にすぎず、修行を積めば天国に行ける』と繰り返し洗脳していたため、信者はみな笑顔だったのだと。このなんとも言えない結末に、衝撃が走ったものです」(前出・宗教ジャーナリスト)
そしてUFO系カルト宗教団体ヘブンズ・ゲートは、歴史の闇へと消えていったのである。
(ジョン・ドゥ)