前方に大きく突き出した顔に細長い手足、そして指は3本…。まさに1982年に公開された、スピルバーグ監督の映画「E.T.」を思わせる風貌の「宇宙人」だとする2つの死体が9月12日、メキシコ議会で行われた「UFO=未確認飛行物体に関する公聴会」で公開され、世界的なニュースになった。
2体は2017年に南米ペルーの採集所で見つかったもので、それぞれ1800年前と700年前のものである可能性が高いという。
ジャーナリストでUFO研究家として知られるハイメ・マウサン氏がメキシコ議会に提出した研究報告書によれば、2体の体内にはレアメタル製のインプラントが存在しており、うち1体には「卵」のような物体も存在。メキシコ国立自治大学による遺伝子解析の結果、遺骨のDNAの3分の1近くは出所が不明であることから「それらは人間とは何の関係もないことが明らかになった」と主張している。
マウサン氏は2015年にも、ペルー南部のナスカの地上絵遺跡の近くで「宇宙人の死体」を発見したとして話題になったが、その後、人間の子供のミイラと判明。そんなこともあり、今回は大学の研究チームに、徹底分析を依頼した。
その結果、同大学から「地球外生命体の存在を示す十分な証拠は、今のところない」との結論を導き出したようだ。同大学は「鑑定はあくまで標本の年代を特定しただけであり、標本の起源についての結論は出ていない」として、同氏の見解とは一線を画している。
実は宇宙人の死体騒動は、かねてから各国でたびたび発生しており、最も有名なのが、1995年にイギリス人プロデューサー、レイ・サンティリ氏が公開した、16ミリ白黒フィルムで撮影された衝撃的なビデオだ。
これはロズウェル事件で回収した宇宙人の遺体を解剖実験している様子を収めた、とするもので、カメラに映る解剖台には小柄な人間ほどの宇宙人が横たわる。白い防護服を着た医師が解剖にあたっているというものだ。
「サンティリ氏はこのビデオを1994年11月に、アメリカ人の従軍カメラマンから10万ドルで買い取ったとして、そのあまりにもリアルな映像が世界中で大騒ぎを引き起こしました。しかし、のちに偽物であることが判明。UFO研究家からは落胆の声が漏れたものです」(UFO問題を取材するジャーナリスト)
その後も、宇宙人の死体ではないか、と思われる「物体」が各地で発見されたが、いずれも信憑性を欠くことから、今回の「死体」では俄然、UFO研究家たちの期待が高まっているのだ。
(ジョン・ドゥ)