コトの起こりは1960年代中盤、スペインのマドリッドで、作家や弁護士など社会的地位のある人達に宛てた「ウンモ星人ユミット」と名乗る人物からの、奇妙な手紙が届いたことだった。
タイプ打ちされた手紙には、ウンモ星の宇宙論や宇宙船の推進理論、宇宙の生物の生態、さらには心理学や社会学など、多岐にわたる高度な知識が記されていた。
さらに手紙の中には、彼ら自身と思われるイラストのほか、彼らが使う言語も添えられている。最後には必ず、西洋占星術における天王星のシンボルに似た、漢字の「王」を横にしたような文字が記されていたという。UFO研究家が語る。
「手紙に記されているUFO出現を予告した1967年6月1日の夕方、マドリッド郊外のサンホセに現れたUFOを撮影したとされる写真が公開され、その機体に『王』マークがあった。このウンモ星人ユミット騒動が、単なるお騒がせではなく、宇宙人による予告ではなかったのかとして、にわかに脚光を浴びることになったのです」
ところが撮影者は不明。アメリカのUFO研究団体がコンピュータを使って分析したところ、吊り糸が確認され、写真はインチキであることが判明した。そして騒動は、そのまま収まるかに思えた。
この騒動から20年の時を経た1989年9月。なんと今度は旧ソ連のヴォロネジ市で、公園に着陸するUFOを複数の住民が目撃。しかもその機体には「王」に似たマークがあったとの証言が続出し、ロシアでウンモ星人騒動が再燃することになったのである。先のUFO研究家が、興奮した口調で言う。
「手紙によれば、ウンモ星は地球から見ると乙女座の方向、約14.4光年の距離にある『イウンマ』という恒星の惑星。実際の天文学では、この位置には『ウォルフ424』と呼ばれる天体が確認されています。これがウンモ星人が指す星である可能性が高い。1967年にマドリッド郊外で撮影された写真が捏造だったとしても、1989年に旧ソ連に現れたUFOは、目撃者が複数います。しかも手紙は60年以上にわたり、判明しているだけで6000通以上が送られているというんですからね。いったい誰が何の目的で、こんなことをしているのか…。手紙はアメリカやロシア、ドイツ、中国など様々な国から投函されていることから、今もUFO研究者らの間では、謎の事件として語り継がれているんです」
ウンモ星人は実在するのか。その目的が実に気になる。
(ジョン・ドゥ)