良質なドラマに結果がついてくるとは限らない。それを実感するのが「厨房のありす」(日本テレビ系)だ。空間や物、人、特定の行動に強いこだわりを持つ発達障害のひとつ「自閉症スペクトラム」を抱える女性料理人が、障害の特性を生かしながら最高の料理を提供する、というストーリー。原作者が急死した同放送枠の前作「セクシー田中さん」に続き、生きづらさを抱える人たちにスポットを当てたヒューマンドラマだ。
自閉症スペクトラムを抱える主人公ありすを門脇麦、その父親で同性嗜好をカミングアウトしている大学教授を大森南朋、主人公の唯一の友達を前田敦子が演じる。そしてありすの店に突然転がり込んだ、ワケありフリーターをKing&Princeの永瀬廉が好演している。
キャスティングも脚本演出も申し分ない。この作品と同ドラマ枠の前作「セクシー田中さん」原作問題を絡めた、悪意に満ちた報道も目立つが、日曜深夜枠としては前回視聴率が世帯視聴率5.5%、個人視聴率3.1%なのは合格点だろう。
気になるのはKing&PrinceとSMILE-UP.の推しがいるにもかかわらず、テレビ番組配信サイトTVerのお気に入り登録者数が、55.4万人にとどまっていること(2月22日時点)。
「セクシー田中さん」のお気に入り登録数は回を重ねるにつれて増え、最終回で87万人を超えた。同じく日テレで永瀬が出演していた「King&Princeる。」もお気に入り登録数93.6万人をマークし、SNSでトレンド入り。TVerの2022年アワードでは、特別賞に選ばれている。テレビ局スタッフが語る。
「ドラマ制作発表の会見で、永瀬は8キロ痩せたと話していました。昨年秋の主演映画の公開記念挨拶では滝のような汗が止まらず、2回も舞台袖に引っ込んだ。King&Princeが2人体制になった後、髙橋海人と有村架純との3年に及ぶ交際が報じられるや、髙橋のSNSは大炎上。永瀬出演ドラマのお気に入り数が伸びないのは、King&Princeを脱退した平野紫耀らが芸能活動を再開し、さらに髙橋の交際報道で一部のファンが離れたことも遠因かもしれません。永瀬はSNSをやらないと公言していましたが、髙橋に代わる形でインスタを開設した。ドラマ制作現場の写真をアップするなど、ファンサービスに務めていますが、明らかなオーバーワークと心労が懸念されます」
「セクシー田中さん」騒動も髙橋の炎上も、匿名で誹謗中傷する卑怯者は原作ファンでもないし、ドラマや「推し」を愛しているわけでもなかろう。
(那須優子)