景気の良さを実感している人など、ひと握りの投資家だけだろうが…。
2月22日の東京株式市場で日経平均株価が反発し、1989年12月29日終値の史上最高値3万8915円を一時、上回った。
一方で世界的な銅の高騰を受け、全国各地で線路上のケーブルや公園の水飲み場の蛇口、ブロンズ像までが盗まれる治安の悪さを、肌で感じるようになった。
JR西日本の宇部線と山陽線では1月から2月8日にかけて、レールをつなぐ銅製ケーブルが220カ所で450本以上が持ち去られているのが見つかり、運休や遅れが生じるなどの支障が出た。
山口県警宇部警察署は2月20日、このうち1件の窃盗に関わった疑いで、宇部市の男性会社役員を逮捕した。
これ以外にも茨城県北茨城市では橋に設置されていた銅像4体、都内の江戸川や荒川の河川敷の公園などからも、水道の蛇口42点が盗まれている。都内の公園に凶器ともなりうる工具を持った泥棒がうろつくほど、治安が悪化しているのだ。
中でも生活に直結するのが、水道メーターの盗難である。これまでは大阪府内や埼玉県内の集合住宅や公営住宅の空き家、もしくは戸建ての新築現場が狙われていたが、すでに人が住んでいる新築住宅まで、空き家と間違えられて水道メーターが持ち去られる事件が起きている。昨年12月、埼玉県新座市でのことだ。
昨今の世界的な環境保護活動の弊害で、銅山開発と採掘に規制がかかると、2020年以降、銅の価格は2倍から6倍に高騰している。日本人の貧富が両極化し、富める者は株、貧しい者は銅泥棒へと駆り立てられるのだろう。
バブル期の日本国内は寝台特急が行き来し、夜中まで電車が動いていたから、線路のケーブル泥棒なんてできるわけがなかった。現在は深夜12時を回ったら山手線の外回り、内回りのいずれも、池袋や大崎の先まで帰れなくなる。
銅板を使ったエクステリアやガーデニング、ペット逃亡予防の柵を使っている人は、盗難防止の補強や監視カメラ設置で自衛した方がよさそうである。
(那須優子)