「これは僕が実業団にいたからわかるし、周りに実業団の知り合いがいるからこそわかる話なんですけど。箱根駅伝で活躍してた頃の高いモチベーションを保てる実業団選手っていうのは、ひと握りいればいいかなって感じだと思ってます」
國學院大学3年生の平林清澄が2時間6分18秒の好タイムでゴールし、初マラソンで衝撃的な優勝を飾った大阪マラソン。その日、自身のYouTubeチャンネル〈レイリーチャンネル〉を公開し、学生と実業団選手のモチベーションの違いを語ったのは、中島怜利である。
中島はかつて、東海大学陸上部に所属。2017年から2019年まで3年連続で箱根駅伝の6区を走り、2019年には区間2位の活躍で東海大学の総合優勝を牽引。大学卒業後の2020年3月、実業団の大阪ガスに入社した。2021年1月に退社するとプロランナーに転向し、YouTuberとしても活動している。
中島は、コロナ禍もあって企業の業績が悪化したことで、マラソンの成績が優秀であったとしても際立った報奨金をもらえないと指摘した。一方の学生は、箱根で活躍すれば名が売れて、いい企業に就職できるモチベーションがある。中島が言う。
「もちろん社会人になっても真摯に自分はもっと速くなるんだ、って頑張っている選手はいっぱいいるので、あんまりこういうこと言うとね、勘違いを生んでしまう可能性もあるんですけど。ハッキリ言って、なんとなくで競技してる選手がめちゃめちゃ多いんで、学生の方が一瞬一瞬に、ひとレースに懸ける思いってのはデカいので、モチベーションの違いはハッキリあるんじゃないかなと思います」
ひいては、それが冒頭の言葉へとつながっていくのだ。
日本陸連の瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダーは、レース後の記者会見で「学生に実業団の選手が負けてるんじゃ、みっともない」と苦言を呈したが、実業団選手のモチベーション向上こそ問われる時代なのかもしれない。
(所ひで/ユーチューブライター)