巨人で活躍した槙原寛己氏は史上15人目の完全試合達成者として知られているが、それと同じ、あるいはそれ以上に話題になるのが、1985年の阪神との試合で打たれた「バックスクリーン3連発」だ。槙原氏はYouTubeチャンネル「おじさんだけど、遊んでもいいですか?」に出演し、3被弾の原因を自ら解説した。
まず、バースとの対戦では、
「その前の打席でシュートみたいにちょっと指をずらして投げたら、ちょっとだけ落ちてセカンドゴロでゲッツーが取れた。7回に同じシチュエーションが来たから、また落とせばいいやと思ってビャッて投げたら落ちないでスーッと真ん中にいって打たれた」
キャッチャーが出したサインはストレート。正捕手の山倉和博がケガをしたため、この時にミットを構えていたのは佐野元国だった。槙原氏は佐野捕手なら何を投げても怒らないだろうと、サイン通りに投げなかったと明かしたのだ。
シュートをバースに打たれたことから、4番の掛布雅之には直球勝負を挑んだと、槙原氏は言う。
「まっすぐなら打たれないと思ったら、ものの見事にホームランを打たれた。そこで岡田(彰布)さんには変化球を投げたが、フォームが緩んでるわけ。(あとから聞いたところによると)岡田さんは変化球だと見抜いていたそうで、踏み込んで打ってバックスクリーンにライナーで行った。岡田さんは今でも『俺のがいちばんいい当たりだった』って言う。岡田さんに打たれた時には後悔しかなかった」
槙原氏はバースにシュートを投げたことが3連発のきっかけだと考えているそうだが、なぜそれを投げたのかといえば、
「バースをナメてたんだよね。だって試合前のミーティングで、バースは調子悪くて打たないから寝かしとけ、と。オープン戦からあんまりよくないからって。1割7分か、もっと打ってなかった」
この年、バースはホームラン54本を打って三冠王を獲得するのだが、チームの指示があったとはいえ、そんな打者を「ナメていた」とは驚きだ。もしバースをナメなければ、バックスクリーン3連発はなかったかもしれない。
(鈴木誠)