コロナ禍がすっかり落ち着いて、国内のみならず海外からの旅行客も戻ってきた。屈指の観光地たる沖縄県で大人気なのが、1000円でベロベロになれる、いわゆる「せんべろ居酒屋」だ。沖縄のせんべろは1000円でアルコール3杯+おつまみ、または4杯が定番とされている。
ところが、そんなせんべろに、時には「招かれざる客」もやってくる。那覇市のせんべろ居酒屋に勤務するアルバイト女性が顔をしかめて明かす。
「観光客は全然問題ないのですが、地元のオジー(お爺さん)で、すごく迷惑な人が来ることがあります。せんべろで出せる酎ハイは焼酎の量が決まっているのですが、オジーは『焼酎をなみなみと注いでくれ』と言ってくる。普通のお客さんはせんべろでも1時間ほどで飲むので回転が速いのですが、オジーは1000円で何時間も粘るんです。昼間から何時間も居座られると他のお客さんが入りづらくなるし、本当に迷惑ですね」
沖縄の居酒屋は、コロナ前は夜からの営業がメインだったが、せんべろ居酒屋が流行り出してからは、旅行者向けに昼から営業を開始する店が増加した。それなのに、来るのは旅行者ではなく、時間を持て余した地元の老人ばかり。言ってみれば、溜まり場と化しているのだ。アルバイト女性が続ける。
「夜からの営業にすれば、オジー達は来なくなるとは思うんです。でも、最近は内地からの旅行者は帰るのが早いんですよね。コロナ禍ですっかり生活リズムが変わったようで、あまり遅くまで飲み歩かないんですよ。結局、昼間から開けている方が客入りがいいんですよね」
とはいえ、せんべろに制限時間が設けられているわけでもなく、沖縄オジーの生態は簡単には変わらないのかもしれない。