コワイほど笑っている。宮崎、沖縄と続いたキャンプを打ち上げ、台湾遠征へと出撃した巨人の阿部慎之助監督のことである。キャンプは「笑うアベには福来たる~新風の先に笑顔のSeptember~」というキャッチフレーズを掲げ、若手選手とも柔和な表情でコミュニケーションをとるなど、風通しの良さをアピールした1カ月となった。指揮官は2月28日にキャンプ終了後の会見で「笑顔は続けていくと思う。自分の信念を曲げない」と、これからも仏の指導者を目指すことを宣言した。スポーツ紙デスクは、
「キャンプを通じて、笑顔で指導する姿が印象的でしたね。選手への厳しいアドバイスはコーチに任せて、全般的に選手のコンディションや成長過程、練習内容を見ることを重視していました。激烈指導は封印して、令和という時代に沿った指揮官像を披露していましたね」
今でこそ穏やかになったが、2軍監督時代は大学生チームに負けたことに激怒して、選手に1時間にも及ぶ罰走を課し、懲罰ノックを行ったこともあった。さらに坊主頭を半強制したこともあり、昭和のパワハラ気質がたびたび問題となっていた。「不適切にもほどがある」スポ根系パワハラ指導者だったのだが、
「当時のパワハラ指導を反省して、令和流に指導法を変えています。罰走に関してはダルビッシュ有からも批難を浴びて相当、気にしていました。イメージチェンジに必死です。キャンプのキャッチフレーズ『笑うアベには福来たる』もその一環です」(スポーツライター)
シーズンの成績が伴わなければ鬼へと逆戻りすることも考えられるが、はたして本当に秋まで「笑うアベ」のままでいられるのだろうか。
(田中実)