原辰徳監督の事実上の電撃解任で、次期監督に昇格する巨人・阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチの元に、早くも売り込みが殺到しているという。巨人OBが明かす。
「原監督がチームを去れば、コーチ陣の大半はフロントへの配置転換か、ユニフォームを脱がなくてはならない。巨人は1軍だけでなく2軍、3軍のコーチの数も、他球団に比べれば多い。大量に抜けたら巨人で指導者になれるのでは…と考えている者は多い」
他球団に比して、巨人の首脳陣は待遇がいい。他球団のコーチとしてユニフォームを着た経験を持つ球界OBは、羨望のまなざしで語る。
「巨人は打撃投手でも平均年収1000万円を軽く超すチームですからね。同じ役職でも、巨人のコーチなら他球団の2倍はもらっています。しかも複数年契約に、高額な契約金も付く。ひと昔前でも、年俸5000万円の3年契約プラス契約金で2億円近くもらったコーチもいたと聞きます」
ここ数年、読売新聞の大幅部数減を受けて、かつてのような大盤振る舞いは減っている。事実、近年はお金のかかり過ぎるFA戦線への参入には消極的で、大物外国人の獲得も控えている。
だが、2年連続のBクラスが確定。チーム再建に向けて新監督就任となれば初期費用がかさむが、それは折り込み済みだ。スポーツ紙遊軍記者が言う。
「原監督には2億円の年俸を払っているが、阿部慎之助新監督にはそこまでいりませんしね。新監督の意向をくみ、新たなチーム作りのためには、球団としても新しいスタッフ招聘に制限をかけないと思います。巨人のユニフォームを着て現場復帰したい人間にとっては、千載一遇のチャンス。阿部詣でも仕方がないでしょう」
とはいえ、スタッフが代わっただけでチームが強くなるわけではない。阿部新監督は自身にスリ寄る人間ばかりで周囲を固めるつもりはないだろうが、義理もあれば人情もある。権力を握れば性格が変わることもないとはいえない。阿部新監督が忖度なくどんなスタッフを選ぶか、注目したい。
(阿部勝彦)