国内のみならず、海外の旅行者からも人気が高い観光地、沖縄県。観光客が溢れる一方で、交通渋滞は以前から「全国最悪」と呼ばれて、問題視されてきた。渋滞の主な理由は、県民の車依存度の高さだと指摘されている。ところが、だ。
「最近は夜の渋滞が緩和された気がするんです」
と明かす那覇市在住の男性がさらに言うには、
「昨年10月、沖縄本島のタクシー料金が初乗り560円から600円に値上げされました。沖縄の人は歩くのが嫌いで、飲みに行くのに短距離でもタクシーを利用するのは当たり前。だから以前は国際通りを中心に、タクシー渋滞が起こりやすかった。だけど値上げされてからは、乗る人が少なくなったんです。今やタクシーは『貴族の乗り物』とまで言われています(笑)」
確かに沖縄の人は歩くことが嫌いで有名だ。それもあって、ここ数年は50歳未満の世代が食の欧米化や運動不足の理由から全国有数の肥満県になるほど、肥満が蔓延している。なにしろ「歩かない沖縄県民」を皮肉にしたCMも流れるほどだ。
そうした状況が一変し、タクシーの値上げをきっかけに、歩く人が増えてきたというのだ。渋滞が緩和され、県内の人は歩くようになった。いいことばかりなのでは、と思うのだが、
「ただ、同時に問題視されているのが飲酒運転です。タクシーが使えないのであれば、車で飲みに行って、そのまま帰ろうという人も少なくありません。沖縄の夜は遅く、飲み屋は朝まで開いているのが当たり前。朝方に帰る人が多いため、朝7時頃に検問をやっているのを見かけることもありますね」(前出・那覇市在住男性)
朝の通勤ラッシュ時に検問を行えば、その分、渋滞は増える。夜の渋滞が緩和されても、朝方に増えてはあまり意味がない。沖縄の渋滞問題はやはり、一筋縄ではいかないようだ。
(東堂遼)