東京と日光・鬼怒川へのアクセス列車として、1990年に運行を開始した東武特急「スペーシア」。昨年7月には、新たなN100系電車を使った「スペーシアX」に生まれ変わった。
N100系は新造された車両で、これまでのスペーシアを越える豪華装備を採用。通常の座席のほか、個室やソファ席、ラウンジを用意。最上級の「コックピットスイート」はプライベートジェットをイメージした豪華な内装で、「走るスイートルーム」の愛称がついている。
そんなスペーシアXを今後、群馬エリアと千葉エリアでも運行すると、東武鉄道が発表した。
スペーシアXは現在、2編成が運用されているが、3月16日のダイヤ改正に合わせて、さらに2編成が登場。これによって運用に余裕が生まれ、臨時列車や団体貸切列車を設定することができるという。群馬エリアへは6月頃から、千葉は8月頃から運行を開始する。運転日やルートなどの詳細は今後、東武鉄道のウェブサイトで発表される。
運行ルートについて鉄道ライターは、
「千葉方面へはアーバンパークラインしかないので、ここを走ることで間違いないでしょう。群馬方面へは伊勢崎線や桐生線を通って、伊勢崎駅や赤城駅へと行くと思われます。いずれにしても、魅力的な列車になるでしょう」
新たな列車の誕生に胸は高まるばかりだが、蚊帳の外に置かれているのが茨城県民だ。東武鉄道の路線は茨城にはなく、スペーシアXが運行することもない。これが茨城、栃木、群馬の北関東3県の火種になる可能性もあると、先の鉄道ライターは警告するのだ。
「この3県は都道府県魅力度ランキングの最下位を争っており、ライバル関係にあります。それぞれ自分の方が上だと思っていて、言い争いになることは珍しくない。論争になると、栃木と群馬は新幹線の駅があるため茨城より上だと主張することがあります。茨城は東北新幹線の線路が通っていますが、駅はないですから。スペーシアXが茨城を走らないことも、群馬と栃木にしてみれば、いい攻撃材料。茨城は厳しい状況に追い込まれました」
とはいえ、少しでも早く、新たなスペーシアXの運行を見たいものである。
(海野久泰)