3月16日のダイヤ改正で千葉県の内房を走る「さざなみ」、外房を行く「わかしお」、そして東京と銚子を結ぶ「しおさい」の房総特急と、成田空港へのアクセス列車「成田エクスプレス」が生まれ変わる。
最大の変更点は、房総特急が「全車指定席」になること。さざなみ、わかしお、しおさいには自由席があるが、ダイヤ改正後は全て指定席に。料金はこれまでの自由席特急料金よりは高くなるものの、「えきねっとチケットレスサービス」を利用すると、今までの指定席特急料金より安くなる。
具体的には東京駅から成東駅、茂原駅、君津駅まで、従来なら指定席特急料金が1480円だが、ダイヤ改正後はえきねっとチケットレスサービスを使えば920円と、大幅に安くなる。
しおさいは車両が255系と257系から、成田エクスプレスで使われているE259系(写真)に変更される。これによって全ての座席でコンセントが使えるようになり、フリーWi-Fiも利用できる。
これまでの房総特急からは想像もつかないリニューアルだと、鉄道ライターは言う。
「東京湾アクアラインが完成してから、東京への移動は鉄道から高速バスや自家用車へと移り、房総特急の利用者は減っていました。特にさざなみは2015年に運行期間が東京駅と館山駅から東京駅と君津駅に短縮され、運行は平日だけになったんです。それまでは館山方面への観光客も利用していましたが、変更後は通勤客が主になり、ライナー的な使い方がされていた。冷遇される房総特急を見て、遠くない未来に廃止されるのではないかと思っていたんですが、まさかこんな形でリューアルされるとは驚きです」
気になるのは、大幅リニューアルの理由だ。鉄道ライターが続ける。
「房総には多くの観光地があります。そこへのアクセスに鉄道の需要は十分あると考えたのではないでしょうか。全車指定席すれば、えきねっとチケットレスサービスで割引したとしても、全体の売り上げは上がります。利益のことを考えても、リニューアルは正しい一手ですね」
春の房総はどこも素晴らしい観光地となる。特急に乗って出かけてみてはいかがだろうか。
(海野久泰)