破廉恥とは、恥ずかしいことを平気でする様を意味する。
昨年11月18日に自民党の青年局が和歌山市内で行った会合は、まさに破廉恥と言っていい。会に参加した藤原崇・党青年局長(衆院岩手3区)と中曽根康隆・党青年局長代理(同群馬1区)が辞任する事態に発展したのだ。
懇親会会場には下着姿のような5人のダンサーが突然現れ、ステージや宴席の周辺で踊った。ダンサーに口移しでチップを渡したり、尻を触る参加者もいたという。
女性ダンサーは県連青年局長の川畑哲哉県議が呼んだとされる。川畑氏は記者団に、
「世界的に活躍するダンサーで、多様性の重要性を問題提起しようと思った」
と説明している。
川畑氏が何をもって「多様性」を訴えようとしたのかは全く不明だが、この川畑氏は近く参院の政治倫理審査会で派閥の政治資金パーティーをめぐって弁明を行う世耕弘成前参院幹事長の元秘書。口移しで渡すチップは、川畑氏が準備した。女性に膝の上に乗られ、抱きつかれた男性も世耕氏の地元秘書だというから、世耕氏にとっては踏んだり蹴ったりだ。
多様性をはき違えた川畑氏は大問題だが、ダンサーたちの登場を知らなかった藤原氏や中曽根氏が、報道されるまで何の対応もとらなかったことも問題だ。
この会合は党本部や県連が支出したといい、公費が使われている可能性が高い。自民党は単に辞任にとどまらず、藤原氏らに厳正な処分をすべきである。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)