インバウンド回復でホテルの需要が高まる中、全国でその宿泊費の高騰が止まらない。特に都内のビジネスホテルは1万円をとうに超え、出張の多い会社員からは悲鳴の声が上がっている。
出張で利用するホテルは一般的に、1泊7000円から8000円程度に設定されている場合が多い。しかし、都内でその料金で探すとなると、格安宿泊施設のドミトリーや、カプセルホテルしか出てこない。今やビジネスホテルは、1泊1万5000円から2万円台が平均的なのだ。
「コロナ禍の時は6000円で泊まれた都内のビジネスホテルが、今は1万3000円に値上げしていました。出張費の宿泊費は8000円。取引先との接待もあったので、なるべく安く都心に近い、古いビジネスホテルを予約しました。それでも7000円しましたが、なんと部屋は2畳ほどのスペースに小さいシングルベッドが置いてあるだけ。しかも、隣の部屋のいびきが聞こえてくるほど、壁が薄い。それに、古いビジネスホテルって門限があるんですよね。前もって確認しなかったのが悪かったのですが、チェックインのときにフロントで聞いて焦りましたよ。取引先との接待の途中で『門限があるので0時までには帰ります』と言った時は、さすがに気まずかったですね」
そう語るのは、30代のサラリーマンである。コロナ禍に安く泊まれただけに、そのクオリティーで7000円は、確かに割高に感じるだろう。ところが、
「男性はまだいいですよ…」
と語るのは、出張の多い営業職に携わる女性会社員だ。
「都内で安いビジネスホテルを見つけても、男性専用というところがほとんどなんですよね。女性が安く泊まるとなると、やはりドミトリーかカプセルホテルになりますね。でもカプセルホテルは最近、キレイなところがたくさんできていて、そのぶん、高いです。しかも女性専用フロア自体が少ないので、すぐに埋まってしまう。そうなるとドミトリーしか選択肢がないのですが、シャワールームは共用なので、使えるのが夜22時までとか決まっているんですよね。深夜にドライヤーが使えないので、夜遅くに帰ったら髪の毛も洗えません。古くてもユニットバスでも、好きな時間にシャワーを浴びれるビジネスホテルが恋しいです」
コロナの規制が緩和されて以降、接待で遅くまで飲みに行くことも増えただろう。このような意見も踏まえて、企業側も出張費の見直しをする時期かもしれない。