モテモテぶりの秘密をコラムニストのペリー荻野氏が分析する。
「阿部さんの魅力は二枚目にはできないことは、何でもできてしまう幅の広さ。二枚目はイメージを壊しちゃいけない、という部分があるから意外と演じることができない役が多い。でも、阿部さんは何でもできちゃう。『不適切─』は、まさに二枚目がやったら厳しい役で、言ってることはめちゃくちゃなのに、どこか芯がある。この人なら言ってもいいというキャラですから、宮藤さんはそのことを承知の上で阿部さんに振っているのだな、と思いますね」
「娘がチョメチョメしちゃう~」、ドラマ冒頭、愛する娘・河合優実(23)のために絶叫しながら全力疾走する父親の姿はおかしくも切実だ。恥も外聞もかなぐり捨てた演技こそが阿部の真骨頂なのだ。
独特な役どころを演じることが多い阿部だが、その素顔も少し変わっている。芸能レポーターの城下尊之氏が普段の阿部について語る。
「知り合いの映画プロデューサーによると、普段はあまりしゃべらない寡黙なタイプだけれど、行動が面白い、少し変な人だそうです。松たか子さんが話していたのですが、演出家・野田秀樹氏(68)が舞台の稽古の時に説教をしていると、阿部さんがそーっと動いて時計を勝手に進めてしまったのだとか。そうすると野田さんが『あ、もうこんな時間だ』と説教をやめる。そんな面白さを持った人ですね」
この阿部のヘンな行動は家族にも及んでいるようだ。
「休みの日は夫婦2人でデパ地下に行くそうなんですが、阿部さんはわざと迷った振りをしてはぐれてしまう。そうして奥さんを慌てさせて、自分は隠れてその様子を見ているそうですよ。そんなキャラクターだからこそ、現場の雰囲気はよくなるし、しっかり魅せる演技もできる。彼のような俳優さんは重宝がられますよね」(城下氏)
ドラマはいよいよハチャメチャのまま、大団円を迎えることになりそうだが‥‥。
「昔のホームドラマは普通の家族を中心に、横には女湯をのぞきに来るような脇役の〝変な人〟がいました。こういう人は身内だったら面倒くさいけど、ドラマで見ているから面白い。でも令和の今は、この変な人が主役に収まっている。『不適切─』はまさに、説教くさい時代錯誤の〝変なおじさん〟が主役ですよね。それを演じて、面白くできる阿部さんは味があるし、他にはあまりいない俳優であることは間違いありません」(ペリー氏)
イケメンだがヤサメンじゃモノ足りない!「クセ強」不適切男こそが令和に必要なのかも。