大谷翔平が元通訳の違法賭博スキャンダルで大揺れする中、その後輩は着々と歩を進めている。日本のプロ野球ドラフトをひとまず回避し、米スタンフォード大学に入学する花巻東高校の佐々木麟太郎が3月26日に、アメリカに到着した。野球部には4月から合流し、6月のサマーリーグ参加を経て、来年2月からの新シーズンで公式戦デビューする見込みとなっている。(2024年2月17日配信)
大先輩である大谷翔平と菊池雄星を超える快挙だ。
歴代最多の高校通算本塁打140本をマークした花巻東高校の佐々木麟太郎が、アメリカの名門スタンフォード大学に進学する。
スタンフォード大学は最新の世界大学ランキングで英オックスフォード大学に次ぐ2位の超名門校(日本最高位の東京大学は前年から10ランクアップの29位で、続く京都大学は55位タイ 、東北大学が130位タイ)。
スタンフォード大学出身者にはタイガー・ウッズや女優シガニー・ウィーバーのほか、Google創業者のセルゲイ・ブリン、Gap創業者のドリス・フィッシャー、NIKEの創業者フィル・ナイトら起業家も多い。輩出したノーベル賞受賞者数は80人を超え、大学別ランキングでは世界7位である。
授業料は5万ドル以上(日本円で750万円)、寮費食費に1万8000ドル(同250万円)で、大学卒業までの学費は日本円にして4000万円を超えるが、その代わり、卒業生の10年後の平均年収は2100万円と、将来を約束されている。
さらに佐々木が入学する2024年度からは、親の年収が10万ドルに満たなった場合、次年度の学費が免除となる。
日本から受験する場合、TOEFL100点以上の語学力と、高校の成績表が「オール5」相応の学力レベルが必要だ。さらにアメリカ留学に必要な学力試験SAT等の成績や英作文、面接、推薦状などを加味して合否が決まる。その合格率は3.95%という超狭き門なのである。
スタンフォード大学に留学経験のある日本人医師によると、
「アメリカの名門大学はコネ社会。卒業後も同窓生とビジネスライクな付き合いが続きます。だから学生本人が優秀であることが大前提ですが、家柄や親の職業も考慮される。その学生がスタンフォードに入学することで、卒業生にどれだけメリットがあるかも加味されます。スポーツ選手の場合、バスケットボールやアメフト、野球であればドラフト候補生であることが大前提。佐々木選手の場合、本人が将来、メジャー入りが確実視される実力の持ち主である上に、お父上があの大谷選手と菊池選手の指導者ですから、申し分ありません。スタンフォードは花巻東と太いパイプを持ったことになります」
むろん、世界中のエリート受験生100人中4人しか手にできない合格切符をつかみ取ったのは、佐々木の努力と実力の賜物だ。
「佐々木選手が望めば、現役選手を引退後、大学卒業生がスポーツビジネスに力添えしてくれるでしょう」
と前出の医師は言う。無責任な外野からすれば、佐々木には大学があるカリフォルニアの空の下でのびのびと野球をしてほしいし、「MLB初の日本人ゼネラルマネージャー」も目指してほしい、などと夢想してしまうのである。
(那須優子)