3月30日の深夜、アラブ首長国連邦のメイダン競馬場で「ドバイ国際競走」が開催される。GⅠ&GⅡの7レースに日本馬23頭が参戦予定で、GⅠ4レースの馬券が発売されるが、今年は注目の後半2レースを徹底分析する。
JRAによる馬券発売は第6Rから第9Rの4レースだが、第8Rドバイシーマクラシックには、昨年の三冠牝馬リバティアイランドを筆頭に国内GⅠ馬の4頭が挑む。
専門紙「競馬エイト」の海外競馬本紙予想を担当する増井辰之輔トラックマンが日本馬について語る。
「まさに日本の中距離界が誇る最強クラスが集結。上位を独占しても不思議ではない好メンバーですね。特にリバティアイランドはジャパンC(2着)のあと、早くからここを目標に調整されてきました」
年末の有馬記念をパスして、今年初戦に向けた調整はすこぶる順調で、3月14日の2週前追い切りでも3頭併せで最先着するなど、軽快な動きを披露した。
「福永助手も『体重は増えていても太いという感じはなく、精神的にもリフレッシュされています』と話していましたね。ややテンションが高くなりやすいタイプだけに環境の変化は少し心配ですが、現役最強といっても過言ではない昨年の足跡。馬体のスケールと瞬発力を兼備しており、メイダンの舞台も向きそうです」(増井TM)
昨年の天皇賞・春を制したジャスティンパレスと一昨年の桜花賞&オークス馬スターズオンアースも、初の海外遠征に戸惑いをみせなければ、好勝負必至だ。
「両馬とも前走・有馬記念からの参戦になりますが、前者はゲートの駐立が安定せずに出負けして4着。位置取りの差が響いただけで力負けではありません。圧勝した3歳秋の神戸新聞杯(中京、芝2200メートル)の内容から左回りの2410メートルという設定も悪くない。
後者も日本の長距離輸送ではイレ込む面もなく、コース、距離を問わず確実にポテンシャルを発揮できるタイプ。有馬記念の2着はルメール騎手の好判断も大きかったですが、ここも継続騎乗ですし、スタートが五分なら、まず崩れないでしょう」(増井TM)
21年のダービー馬で一昨年の覇者シャフリヤールは昨年5着。前走の有馬記念も5着に敗れているが、
「コース経験が豊富なのは有利な材料です。急遽、参戦となった有馬記念よりも上質な調整過程を経ていて巻き返しに燃えています。英ブックメーカーの予想オッズほどの差はないと思います」(増井TM)
日本馬に立ちはだかる筆頭は、ディープインパクト産駒のオーギュストロダンだ。夕刊紙「東京スポーツ」でコラム「海外競馬解析」を執筆する競馬ライターの秋山響氏が解説する。
「上がり4ハロン44秒14、3ハロン33秒01で突き抜けた昨年の英ダービーは衝撃的でした。その2戦後のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSは10着に敗れましたが、渋った馬場の影響も大きかった。良馬場が見込める今回はその点に不安はありません。それより気になるのが気性面です。A・オブライエン調教師いわく『感受性が強く、環境が変わると一晩中起きていることもある』そうなので、初のドバイ遠征、そして初のナイター戦もポイントになりそう」
英ブックメーカーもリバティアイランドとの2強のオッズを示しているが、強敵は他にもいる。
「キレという点では、英国馬エミリーアップジョンがおもしろい存在です。昨年のコロネーションCでは、ウエストオーバー(昨年のシーマCでイクイノックスの2着)などを相手に上がり3ハロン33秒48で完勝しています。スタートの遅さに不安はありますが、日本馬を脅かす存在であることは間違いありません」(秋山氏)
はたして日本勢の3連覇なるか、注目したい。