河野太郎デジタル担当相が自身の公式サイトで〈河野太郎に関するFAQ〉を出している。FAQとは「Frequently Asked Questions」の略で、「よくある質問」のことだ。では、順に見ていこう。
最初の質問は〈河野太郎は『親中』『媚中』なのですか?〉である。これに対して、河野氏は次のように反論。
〈2021年の総裁選挙をきっかけにネット上に流された悪意あるデマにすぎません。安倍晋三内閣の外務大臣、防衛大臣として、中国の軍事拡大、一帯一路を通じた債務のワナの拡大に警鐘を鳴らし、「自由で開かれたインド太平洋構想」を実現するための日米同盟の深化、日米豪印からなるQUADの拡充に心血を注ぎました〉
この質問が広がったのは、親族が経営している日本端子が中国企業と合弁会社を設立するなど、中国でビジネスを展開しているためだった。河野氏は〈親族が経営している日本端子が中国製の太陽光パネルで儲けているのではないか?〉との質問に、
〈日本端子は、端子・コネクタメーカーであり、国内外で太陽光パネルの製造をしたことはありません〉
きっちりと否定している。
〈コオロギ食を推進しているというのは本当ですか?〉にはどう答えたか。
〈事実ではありません。徳島県に出張した際に、地元のスタートアップ企業の活動の視察の一環で、養殖しているコオロギの加工食品を試食したことが一度あるだけです(コオロギがメインの視察ではありません)〉
このように16項目にわたり、ネット上で流れている言説を否定した河野氏。そして注目すべきは、
〈もう少し丁寧に申し上げるべきでした〉
〈私も発言のしかたについては、今後、気を付けていきます〉
などと、珍しく自身の発言に反省の弁を述べていることだ。
河野氏は9月の自民党総裁選に再出馬するのではないかと、その動向が注視されている。そうした中での今回の「FAQ反論」だけに、自民党内からは、
「やはり出馬の意欲はあるのか」(中堅議員)
との反応が出ている。
ただ、これまで都合の悪い質問には「次の質問どうぞ」と木で鼻をくくった対応をしてきた河野氏だけに、問題はこうした丁寧な姿勢が長続きするかどうかだ。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)