先の衆院選、投票率は52.66%と戦後最低を記録しました。組織票のない身にとっては無党派層の投票が頼みの綱。私も「選挙に行ってください」と声高に叫びました。
投票率が低くなった要因はさまざまあります。「与党優勢の報道に関心が薄れた」「一部地域の大雪被害」などがあげられていますが、私は「選択肢の少なさ」も要因の一つだと感じています。
出馬した候補者数1191人は2年前より約300人少なく、1つの選挙区でおよそ1人少なくなっています。
これも投票率の低下を招いた原因の一つでしょう。
今回、私は選挙公約の中に「中選挙区制の復活」をあげました。現在の小選挙区制は日本になじまないからです。
アメリカでは民主党と共和党、それぞれの支持層が決まっており、政権を奪われても支援団体は動きません。しかし、日本はどうでしょう。5年前に民主党政権となった際、いくつかの圧力団体が自民党から民主党になびきました。当時の民主党は308議席と、今回の自民党を上回る議席を確保したにもかかわらず、わずか3年後は73議席まで減らしています。
このとおり、我が国の組織票は「勝ち馬に乗れ」とばかり簡単に動きます。日本では、アメリカのような二大政党制は維持されにくいのです。さらに今回のような低投票率となると、組織票政党がいっそう有利となります。
そんな中、今年2度目の立候補となった私は、衆院選で貴重な4万票をいただきました。
私の場合、名簿を片手にお願いに回る「地上戦」はできません。地上戦は支持基盤のある自民、公明、民主、共産党にとって有利です。この各党は街頭演説でも人を動員できますが、地上戦のできない私は、街頭演説で訴えかける「空中戦」に賭けるのみです。
国家のことを考える自衛官だった私は、2月の都知事選で「東京都民が安心して生活できるにはどうしたらいいか」と東京強靭化計画を具体的に述べた結果、60万票ものご支持をいただきました。
そして今回「大義がない」とされた衆院選でも「自公連立政権では日本はよくならない。公明党をぶっ潰せ」との大義を示し、都知事選の12%を上回る18%のご支持を得ました。
公明党が圧倒的に有利な東京12区は、白票が多いことで知られています。自民党が候補者を立てないのはもちろん、民主党でも立てられませんでした。
誰に入れていいかわからない、誰も信任しない。そんな選挙区において18%を得られたのですから、私の訴えは徐々に浸透する、と信じています。
今のまま、選挙協力で自民党が公明党と親しさを増すと、気がつけば公明党に蛇のように張り付かれ、自民党はしだいに身動きができなくなります。
安倍総理も公明党を切り離したいと思っていることでしょうが、自公を分断せねば「与党内野党」公明党の反対にあうばかりです。
強きよき日本を取り戻すため、私は諦めません。敗れはしたものの、悔いはありません。
投票日の翌朝、赤羽駅西口と東口で、お世話になった御礼を言うための朝立ちを致しました。さらにその翌日は王子駅で朝立ちを行いました。多くの方々から励ましの言葉をいただき、次を目指して頑張ろうとファイトが湧きました。
「平成維新の戦い」は始まったばかりです。
2015年も日本のために活動していく所存です。すばらしい日本を作るために邁進していきます。
◆プロフィール 田母神俊雄(たもがみ・としお) 1948年生まれ。第6航空総隊司令官、統合幕僚学校長を経て第29代航空幕僚長に就任。08年10月、自身の論文にて政府見解と異なる主張をしたことで職を解かれる。08年11月定年退官。