「ネリが入って(入場して)くる、ネリが紹介されるだけで、ネリは全員の『ブー』ってブーイングしかなかったんですよ。あの中で戦うネリはスゴイなって思ったし、しっかりダウンまで取ってしまうネリも、試合を盛り上げる選手だなと思いましたね」
5月6日、東京ドームで行われたスーパーバンタム級4団体統一世界王者・井上尚弥が、ルイス・ネリ(メキシコ)の挑戦を跳ねのけ、6回TKO勝利。王座防衛に成功した。しかし振り返れば、1回にネリの左フックを受けた井上がプロ初ダウンを喫する展開に、観客席からは悲鳴が上がった。
冒頭の感想は、元WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志氏が試合同日に更新した自身のYouTubeチャンネル〈内山高志のKOチャンネル〉でのものだ。アウェーの洗礼を受けるも、見せ場を作ったネリに敬意を表した形だ。
2回、井上がネリの左フックをかわし、強烈な左カウンターでダウンを奪い返すと、悲鳴が歓声に変わる。5回に2度目のダウンを奪い、6回の3度目のダウンで、「モンスター」の「悪童退治」がここに完結した。
「冷静さ」を井上勝利のポイントに挙げたのは、元IBF世界ミニマム級、元WBA世界ライトフライ級王者の京口紘人だ。自身のYouTubeチャンネル〈京口紘人Hiroto Kyoguchi〉で、1回のダウンを振り返った。
「何がスゴイかって、多少焦りはあったけど、すぐに冷静になって、カウント8まで休んで、立った。この東京ドームっていう大舞台で、4万人の観客の中で、冷静にあの経験ができたモンスター。マジ、スゴイ!」
井上の「モンスター」たるゆえんは、類い稀なるフィジカルのみならず、強靭なメンタリティーにもあるのだった。
(所ひで/ユーチューブライター)