衆院3補選で全勝し、「次期総選挙では政権交代だ」と勢いづく立憲民主党だが、頭を悩ます問題を抱えている。
まず、島根6区補選で当選した亀井亜紀子氏の「ウクライナ戦争はロシア対NATO(北大西洋条約機構)の代理戦争」と持論を述べた、過去のX投稿。次に自身のYouTubeチャンネルに出演したコメンテーターが、在日ウクライナ人を「CIA(米中央情報局)のスパイ」と発言した問題で、このウクライナ人から謝罪を求められている原口一博衆院議員(佐賀1区)。そして選挙区内で日本酒を配っていたとして刑事告発された、梅谷守衆院議員(新潟6区)である。
亀井氏の投稿は2022年8月2日のものだが、今回の当選を受けてセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使が反応し、「選挙で選ばれた公職者として、亀井さんには意見を述べる権利がある」としつつ「彼女の意見が間違っていて、自分の党の公式見解とさえ矛盾しているのは残念だ」と不快感を表明した。
亀井氏はXに「まず侵略した方に否があるのでロシアの肩を持つ意図はありません。戦争とは外交の失敗であり、終わらせる方が難しい。ウクライナに平和が訪れる日を願っています」と投稿したが、「侵略した方に否がある」と「戦争とは外交の失敗」は両立しておらず、意味不明だとの批判が出ている。
原口氏のYouTubeで「CIAのスパイ」と名指しされたのは、ナザレンコ・アンドリー氏。原口氏の動画ではナザレンコ氏に関する部分が削除されたが、同氏はXで発言者が同党議員の政策担当秘書を務めていた人物と特定。発言に対しての原口氏の対応を「根拠を求めることも、相手を止めることもなく、『ああそうなんですね』と肯定的に受け答えする部分もありました」と記し、立憲民主党に原口氏への謝罪の指示や指導を求める公開状を出した。
梅谷氏は選挙区内で2023年7月以降、日本酒などを配っていたとして公職選挙法違反の疑いで刑事告発され、新潟県警と新潟地検が受理した。梅谷氏が説明する機会は一度も設けられていない。
いずれも小選挙区で当選した3人であり、立憲民主党としては大事にしたいところ。だが自民党には説明責任を強く求めてきただけに、「ブーメラン」のように跳ね返ってきているのが悩ましい。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)