まだストーブリーグでもないのに、とある選手の去就をめぐり、早くも「争奪戦」がスタートしている。
昨シーズンは134試合に出場して打率2割8分1厘、16本塁打。だが今季はここまで23試合の出場で打率1割8分8厘、本塁打0。4月29日のヤクルト戦(東京ドーム)を最後にスタメン落ちし、5月8日には出場選手登録まで抹消されている。
これが「打てる捕手」の評価があった、巨人・大城卓三の現状である。スポーツ紙遊軍記者が語る。
「大城は今季中に国内FA権取得が可能で、そうなれば今オフ行使の可能性は十分です。現在、12球団でフル出場が可能な捕手はごくごくわずか。FA宣言すれば手を挙げるチームは複数あります」
大城が移籍に踏み切る可能性が出てきた背景にあるのは、その置かれている立場にある。前出の遊軍記者は、
「昨オフの契約更改交渉で5000万円増を勝ち取り、年俸1億3000万円になりました。でも契約年数は単年。最近ではレギュラークラスの選手が国内FA権取得の前年ともなれば、複数年契約を提示されるものですからね。将来に不安を感じても不思議はないでしょう」
新たに就任した阿部慎之助監督との関係も、いまひとつだという。テレビ局スポーツ報道関係者も、
「原辰徳前監督は、大城が東海大相模高校の後輩ということで、目をかけていた部分がある。でも、阿部監督は完全に捕手目線で見ています。確かにリード面では小林誠司の方が上。打撃がよければ、阿部監督も多少は目をつぶるでしょう。でも、今季は打撃でも苦しんでいますからね」
昨年3月のWBCでは「3番手捕手」としてメンバー入りし、世界一に貢献した。環境が変われば本来の打撃力に加え、昨季マークしたリーグ2位の盗塁阻止率(3割7分3厘)も魅力十分だ。今オフFA市場の目玉のひとりとなる可能性は高い。
(阿部勝彦)