阪神タイガースの佐藤輝明が、冴えない表情で鳴尾浜球場に向かった。2軍降格措置となったためだ。
佐藤はトコトン精彩を欠いて、5月14日の中日戦では1点リードの8回無死二塁で、捕手前に転がる犠打を処理した坂本誠志郎の三塁送球を、まさかの落球。逆転負けの要因となった悪夢の失策が岡田彰布監督の逆鱗に触れて「アレで終わりよ」「キャッチボールやからな」と、見放されてしまった。
バットの方もここまで35試合で打率2割9厘、3本塁打、17打点と、リーグ規定打席到達者で28人中27位。指揮官の我慢も限界だった。佐藤の2軍落ちは、昨年6月以来となる。関西メディア関係者が溜め息混じりに語る。
「貧打の虎打線の象徴となっていました。5月に入って暗い表情をしていましたからね。気持ちに波があり、時に緩慢なプレーを引き起こす佐藤は、パワーと本能で勝負するタイプ。上手い配球をされると全く打てなくなります。配球を読むなど相手のことを勉強しないと、このままでは阪神歴代の和製大砲候補と同様に、伸び悩んで終わってしまいます」
阪神をとりまく気質も悪影響を与えていると、この関西メディア関係者が続けて言う。
「全国的にはまだまだ二流のローカル選手ですが、大阪近郊ではメディアに持ち上げられ、スーパースターのような扱いを受けています。関西の文化でスポンサーがついて、オフにはタニマチ主催のパーティーや食事会がたくさんある。『人気先行』で勘違いして、プロ意識が薄れてしまっていないか、不安になりますね。大事な時期なので、野球だけに集中してくれれば、と」
ポテンシャルは高いだけに、このままくすぶり続けることなく、大きく開花してほしいが…。
(渡辺優)