サッカー欧州リーグのシーズン日程が間もなく最終節を迎え、夏に向けて恒例となった海外クラブの日本ツアーが始まる。
ビッグクラブやスター選手の試合を日本で見られるのは、サッカーファンにはありがたい話。そんな中、驚きとともに受け止められたのが、5月13日に発表されたスタッド・ランスの来日決定報道だ。
「過去に6度のリーグ・アン(フランスリーグ)を優勝している古豪クラブには、日本代表のMF中村敬斗とMF伊東純也も所属でネームバリューは問題なし。ところが、これがすんなりとした凱旋帰国とはならないようで…」(サッカーライター)
それも当然。今年1月中旬に開幕したAFCアジアカップを戦っている最中に、伊東を取り巻く性加害の疑いが「週刊新潮」によって報じられた。大阪府警が刑事告訴を受理したことも伝えられる一方、伊東側は「事実無根」を主張、女性側に対して「2億円提訴」を起こしている。
サッカーファンは圧倒的に伊東寄りの論調だが、まだ真相が完全に明らかになっていない中での凱旋帰国の心配について、前出のサッカーライターはこう話す。
「伊東がアジアカップ中に離脱したのは、スポンサーに配慮したという話がある。それほどデリケートな問題でした。そう考えた場合、今回の凱旋帰国で大々的に宣伝ができるのか、帰国した本人がインタビューなどメディアに登場できるのか。思いのほか取り扱いが難しいとなれば、集客には確実に影響が出ます。スタンドに空席が目立つ寂しい事態が待っているかもしれません…」
今夏の日本ツアーには、6月1日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝進出が決定しているドルトムントやシュツットガルト(いずれもドイツ)、トッテナム(イングランド)の来日も決定。すでにどのチームを見るか財布と相談しているファンも多いだけに、宣伝内容は影響を及ぼしそうだ。
さらに雲行きが怪しいのが、日本ツアーを計画していると4月に報じられた、MF三笘薫が所属するブライトン(イングランド)だという。
「Jクラブと2試合の親善試合を予定していますが、肝心の三笘は2月に腰痛を発症してから長期離脱を余儀なくされ、シーズン中に復帰ができなかった。クラブ側はプレシーズンには間に合うと見ていますが、もしも間に合わない、またはベンチを温めるだけの顔見せ程度となれば『チケット代に見合わない』と、どっちらけムードが漂うのは必至でしょう」(前出・サッカーライター)
一方、5月末に一足先に来日するのが、MF久保建英が所属するレアル・ソシエダ(スペイン)。これには前出・サッカーライターも驚きを隠せないと言う。
「シーズンオフ直後の来日は珍しいですが、久保のスケジュールがパリ五輪と重なる恐れがあるため、時期を早めたと言われています。でも、それだけではありません。久保にはビッグクラブへの移籍の噂が常に絶えず、放出する前の最後の荒稼ぎという皮肉もささやかれていますね。その証拠に、東京ヴェルディとの試合のチケット代はメインスタンドの最高額で2万4750円、ゴール裏で9900円ですが、オプション付きのエクスペリエンスシートの最高額は何と350万円。『ソシエダで?』と耳を疑いたくなるほどの強気の価格設定です」
ソシエダが来季のチャンピオンズリーグだけではなく、ヨーロッパリーグの出場権も逃せば、久保の移籍は確実に現実味を帯びる。たとえ最悪の事態となっても、「卒業」までに久保の名前で稼げるだけ稼ごうというクラブ側の気持ちもわからなくもないが…。
どのクラブが最も客を呼べるのか。CL優勝ともなればドルトムントは最有力だが、日本人選手の状況も含め、今夏の各クラブの日本ツアーには、例年以上に悲喜こもごもが待ち構えていそうだ。
(風吹啓太)