第95回都市対抗野球の東京都2次予選で、大波乱が起きた。1回戦に登場した「マッチョ軍団」が企業チームを打ち破る大金星を挙げたのだ。
5年ぶりに2次予選に進出したゴールドジムベースボールクラブは、エースの保田凌馬が強豪セガサミーを相手に160球を投げ抜き、完投勝利。打線は13安打で7得点だった。鍛え上げた強力なフィジカルでフルスイングし、セガサミーの投手陣を粉砕した。
試合後、同ジムの社長である手塚栄司監督は、キッパリと言った。
「野球は素人ですけど、トレーニングはプロですから」
まさに「筋肉は裏切らない」を見事に証明してみせたのである。スポーツライターが語る。
「保田は高島高校時代、強打の早稲田実業戦に登板し、カットボール、スライダーなど小さく落ちる球を駆使する好投を見せています。卒業後は東京国際大学に進みましたが、1年時に良性発作性頭位めまい症を発病し、公式戦で登板することなく退部。2019年秋にゴールドジムに入り、筋トレと体の使い方を見直して、現在のフォームを身につけました。落ちる球を見せ球にする投球術に、セガサミーはまんまと翻弄されてしまいましたね」
ゴールドジムBCはフィジカルの強さを生かして、常にフルスイング。バントを一切しない割り切ったプレースタイルや、応援席に陣取るマッチョマンの筋肉ポーズも見どころ十分だ。
筋トレには否定的なプロ野球OBや選手がいる一方で、筋肉のつけ方によってはそのパワーが野球にも有効であることは、ドジャース・大谷翔平の活躍を見てもわかる。普段から体の使い方や栄養管理が徹底されているため、もともと潜在能力はかなり高いのだろう。
初回5得点からの終盤1点差というゲーム展開。エラーが2個ついていることにも、プロとは違ったリアリティーが感じられる。マッチョ軍団の活躍を機に、都市対抗野球に興味を持つ人が出てくることを期待したい。
(ケン高田)