いつかは王座から降りる日が来るということか――。
テレビ朝日の「木曜ドラマ」10月クールといえば、2012年に第1期が放送されて以降、「ドクターX~外科医・大門未知子~」が、毎年のように新シーズンを放送。21年放送の第7期までが制作されてきたが、一昨年、そして昨年に続き、やはり今年もテレビドラマの続編は放送されないようだ。代わりに、映画版「ドクターX」が今冬に公開される予定で、これがフィナーレになるという。
代表作でもある「ドクターX」を、米倉がなぜ封印しようとしているかは諸説流れているが、「特定の役のイメージ」が定着してしまうことを避けたいという本人の意向が反映されているという。しかし、それだけではない。芸能記者が話す。
「以前に報道もされましたが、やはり体力面は大きいでしょう。連ドラは拘束される時間も長く、体力がないと本当に厳しい。米倉は19年に『低髄液圧症候群』を患っていることを公表したほか、22年には『仙腸関節障害』や『急性腰痛症』のため、本人にとっても大事なブロードウェイミュージカルを降板したこともありました。体調は現在復調傾向にあるようですが、連ドラの多忙なスケジュールはもう勘弁ということでしょう」
しかし、米倉がダメでも、テレビ朝日は「木曜ドラマ」の枠をどうしても医療ドラマで固めたいようで、NP(ナース・プラクティショナー)の資格を持つフリーランスの看護師・那須田歩を岡田将生が演じて好評を博した、「ザ・トラベルナース」の続編を10月から放送することを発表した。
22年10月期に放送され、初回視聴率が11.9%(世帯平均)、最終回も12.9%と好調だった同ドラマは、プロデューサーと脚本は「ドクターX」と同一コンビ。今度のシーズン2はさらなる高視聴率を目論んでいるようだ。
「主演の岡田将生は圧倒的なイケメン俳優ですが、ルックス人気はあっても、出演作品にヒット作があまりなく、突き抜けた存在ではありませんでした。ところが、米国アカデミー賞も受賞した21年の『ドライブ・マイ・カー』の熱演で評価がうなぎ上りに。ドラマでも主演を任せられる人気俳優となりましたね。つまり、テレ朝は医療ドラマの『顔』を米倉から岡田へと移行させたい。その意気込みが伝わってきます」(前出・芸能記者)
医療ドラマといえば、一足先に7月から、宮藤官九郎脚本で小池栄子主演の「新宿野戦病院」(フジテレビ系)の放送が始まる。時期こそ被らないが、本当に「大門未知子」の後継者がすんなり王座を継承できるか、注目したいところだ。
(石見剣)