「ねじねじ俳優」中尾彬さんが5月16日、心不全のため都内の自宅で亡くなっていたことが、22日にわかった。81歳だった。
中尾さんは1962年、日活ニューフェイスの第5期に合格。「金田一耕助シリーズ」のデビュー作となる映画「本陣殺人事件」(1975年)で主役の金田一耕助を演じ、1978年からは松平健主演のドラマ「暴れん坊将軍」(テレビ朝日系)での、穏やかに見えて作戦をしくじった部下をあっけなく見放す冷酷な本性の初代・徳川宗春が当たり役に。
近年は「アウトレイジ ビヨンド」(2012年)、「翔んで埼玉」(2019年)といった話題の映画に多数出演。朝の情報番組「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)では、放送開始の2013年から2021年まで、コメンテーターを務めた。
1978年に結婚した妻の池波志乃さんとは「オシドリ夫婦」。中尾さんは「亭主関白」と言われており、池波さんと共著した2018年の書籍「終活夫婦」の刊行記念トークショー(同年5月13日)に夫婦で出演した際、夫婦喧嘩に話が及ぶと、「ケンカすると中尾さんは家の中では態度が違うのか」との質問が記者から飛ぶ。池波さんは、こう答えた。
「あんまり変わらない。駄々っ子ぽさが増すだけですね」
これに女性記者が「駄々っ子なんですね~」と、からかうように口にすると、中尾さんが恥ずかしそうに俯いてから、
「映さないで!」
キャラが激変したように、カメラに人差し指を振って周囲を沸かせたのだった。
そして「亭主関白」に関する質問に対しては、夫婦漫才のようなやり取りが。
中尾「関白じゃないの。私が要求することを全部やってくれるから。関白っていうのは…」
池波「え、それを関白って言うんじゃないの?」
中尾「オレが喋ってんだよ」
池波「ほらね…」
5月22日、池波さんは所属事務所を通じて「あまりに急で、変わらない顔で逝ってしまったので、まだ志乃~と呼ばれそうな気がします」とのコメントを出している。その悲しみは、いかばかりか。
(所ひで/ユーチューブライター)