政治ジャーナリストの田﨑史郎氏が岸田文雄首相を見捨てたと、永田町で話題になっている。かつては岸田政権が長期になる可能性について、講演などで言及していたのだが、最近は9月の自民党総裁任期満了で退陣に追い込まれる、との見方に立った解説を始めている。
田﨑氏は6月5日の「ひるおび」(TBS系)に出演した際、岸田首相が内閣改造や自民党役員人事で局面を打開するのでは、との報道について、
「総裁選前に人事はできないと思う」
と断言した。そして、これまで岸田政権を支えてきた麻生太郎副総裁らが首相から離れ始めているとした上で、
「岸田さんは今国会での解散は諦められたと思うが、(この状態ではたして)総裁再選にいけるのかな、と僕は思っています」
岸田政権は首相と麻生氏、茂木敏充幹事長の「三頭政治」と呼ばれていたが、茂木氏が総裁選への出馬に意欲を示し、独自行動に出たことを岸田首相が警戒。2人の関係は抜き差しならないほどに悪化した。
さらに政治資金規正法改正の自民党案をめぐり、茂木氏だけでなく麻生氏とも「溝はかなり深い」(田﨑氏)状態に陥った。
「麻生さんがはたして(総裁選で)岸田さんを支持するのかな、という感じになっている」
田﨑氏はそう言うと、岸田首相の総裁選再選に悲観的な見方を示したのである。
自民党内では県連レベルは別として、「岸田降ろし」の動きは表面化していないが、ある閣僚経験者は、
「テレビで連日のように、田﨑氏が岸田政権は終わりに近いと言えば、それに煽られて『ポスト岸田』の動きが活発化するのではないか」
と語るのだった。
憲法改正実現を掲げ、通常国会の会期を大幅延長でもしない限り、田﨑氏が予言するように、いよいよ岸田政権の命運は尽きようとしている。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)