この4月から水曜22時に放送されている「世界頂(いただき)グルメ」(日本テレビ系)が、どうにもいただけない。番組公式サイトによれば、コンセプトは「異国で愛される一番うまい地元メシ=世界頂(いただき)グルメを大捜索!食を入口にその国を知り、食の力で世界とつながる番組」。単純に言えば、世界各国の美味しい料理を食べまくるロケ番組なのだが、これが水曜日の日本テレビの視聴率を大きく下げる一因となっている。
「例えば、5月22日放送の個人視聴率は2.5%(ビデオリサーチ調べ、関東。以下同)、世帯視聴率が4.5%。日本テレビが掲げる『プライム帯4~5%』という努力目標にはほど遠いですね。さらに輪をかけて印象を悪くしているのが、直前の番組から大きく数字を落としている点。くりぃむしちゅー・上田晋也が司会のトーク番組『上田と女が吠える夜』の同日の視聴率が個人4.4%、世帯で7.3%にもかかわらず、いずれも2%以上、『頂グルメ』で下げているのです」(放送作家)
「上田と女が吠える夜」で獲得した圧倒的なアドバンテージを台無しにしてしまっている、この番組の欠陥について、放送作家が続けて掘り下げる。
「ありそうでない番組をタイムテーブルに据えるのが日本テレビのお家芸だったのですが、この番組は日テレらしさがまるでない。例えば同ジャンルのグルメ番組『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』はニュース番組の1コーナーにありそうなものですが、料理人の素顔にとことん迫ることで、番組に厚みをもたらしています。素人出演番組の人気が高まる要素として、名物キャラの発掘がありますが、『オモウマい店』はそういったスターを次々と生み出していることが、番組の継続視聴につながっている。しかし『頂グルメ』は毎回、芸能人が海外に行って食べているだけと、独自のエッジがありません。スタジオにはハライチ、佐藤栞里という人気者を配置していますが、特段、彼らである必要はない。つまりは、仕掛けが足りないのです」
さらに心証を悪くしているのが、「頂グルメ」で一度離れた視聴者が、次の「news zero」から戻っているという点。先の5月22日の例で言えば、個人視聴率3.2%、世帯4.5%となっている。
放送開始から2カ月、今のところ「頂グルメ」に大きな改善、テコ入れは見られないが、どこまで日本テレビは我慢し続けるのだろうか。
(里見友三)