岸田政権の失政による不況が続く中、日本を離れて海外進出する若者が増えている。中でも、日本人の進出先として人気が高いタイには、7万2000人の日本人が暮らしている、とのデータがある。
タイで日本人が働く場合、日系企業から赴任する以外にも、現地の企業に採用されるケースがある。日本人の最低賃金は5万バーツ、現在のレートで約21万円となるため、そこそこの生活が可能である。しかし、
「中には悪徳な会社が存在します」
そう語るのは現地在住のジャーナリストだ。
「私に相談が寄せられたことがあるのですが、日本人が日本人を騙すことがあるようです。会社側が住居を用意すると言い、通常の家賃よりも安く住めると、甘い言葉で誘い込む。聞いた話では、家賃1万5000バーツ(約6万4000円)のアパートを用意し、会社手当として5000バーツ(約2万1000円)が割り引きされるため、1万バーツ(約4万3000円)
で住める、と説明されます。ところが実際のアパートの家賃はもともと1万バーツであり、会社側が高く見積もってその差額を着服しているわけです」
さらに驚くべきは、相談者の給与だった。
「なんと月給を3万バーツ(約12万8000円)しかもらえなかったそうです。家賃が給料か
ら天引きされていたとしても、4万バーツ(約17万1000円)ということで、最低賃金にもなりません。その日本人は働いている途中で違和感を感じて私に相談し、すぐに別の会社に転職しました。こうした日本人の現地採用に関する情報を知らない人は、騙されやすい。悪徳企業は他にも存在すると考えられます」
狙われるのはタイの状況を詳しく知らない若者や、日本では引きこもりがちな人物など知識が乏しい人々だと、このジャーナリストは指摘する。
東南アジアでのアルバイトに誘われた結果、それが振り込め詐欺の勧誘電話だった、という事件が少なくない。海外で働く際には、日本以上に注意深く下調べをすることが不可欠となる。