スポーツ

横浜F・マリノス「ホーム試合開催」大ピンチがスポーツ界に拡大する「深刻大問題」

 サッカー界のみならず、今後のスポーツ界全体に深刻な影響を及ぼしかねない出来事が起きたのは、6月18日のことだった。

 その日、J1の横浜F・マリノスの公式ホームページ上に「ニッパツ三ツ沢球技場ご来場時のお願い」というタイトルで、ニッパツ三ツ沢球技場でのホームゲーム開催に際し、サポーターに向けて注意事項が更新された。

 ページを開くと、スタジアム周辺への配慮や、横浜市営地下鉄の利用を勧める「いつもの内容」がつづられていた。ところが、問題は「臨時バス運行について」の項目だった。そこにはこう明記されている。

〈ニッパツ三ツ沢球技場でのホームゲーム開催時に運行いただいておりました臨時バス(三ツ沢総合グラウンド→横浜駅)は諸般の事情により2024シーズンの運行はございません〉

 臨時バスの運行がなければ、ピストン輸送ができず、スタジアムに足を運ぶサポーターにとっては不便この上ない話なのだが…。問題の根っこはもっと深い。

 スポーツライターが今回の緊急事態について、こう解説する。

「『諸般の事情』と書かれていますが、バス運転手を確保できなかったと推察するのが正しいでしょう。同じJ1でいえば、北海道コンサドーレ札幌が昨年の9月16日以降、各バス事業者の申し入れで札幌ドームへのシャトルバスを全路線運休しています。ただし、今回はさらに深刻です。その背景には、4月から規制が始まった、運転手の時間外労働の上限時間が年間960時間に制限される『2024年問題』があります。バス運転手が絶対的に不足している中でこの制限がかかり、横浜F・マリノスには臨時バスの運行を取りやめる以外の選択肢がなかったとみられています」

 つまり、法律が変わるなどのよほどのことがない限り、この臨時バスの運行は永久になくなりそうなのだ。

 確かに、バスの運転手不足は全国的に社会問題となっている。千葉県では路線バスの減便が相次ぎ、4月までの半年間で約1900便が減ったという報道があったばかりだ。

 これは当然、今後のスポーツ界全体を襲う大問題だと、前出のスポーツライターは懸念する。

「交通の便が良いところにスタジアムがあるプロ野球以外は、大きな箱ものスポーツイベントは観客激減の可能性があります。サッカー、ラグビー、陸上など、特に臨時の大きな大会を、地方のスタジアムや陸上競技場で開催する傾向にあるスポーツは深刻です。ほとんどの場合が最寄りの駅から、臨時バスで大勢の観客を会場へと運んでいますからね。ところが、このバスを確保できなくなる。臨時シャトルバスがないと告知されたら、遠方からの集客が難しくなりますから、前売りにせよ当日にせよ、チケットの売り上げが落ちることは容易に想像できます。マリノスの三ツ沢開催ですら無理なのですから、長い目で見て、スポーツ界にとって頭を抱える大問題へと発展していきそうです」

 巷では、修学旅行の貸し切りバスの手配でも、バス会社に断られるケースが増加しているという。

 このような状況では、地方開催時に駅前に臨時バスがズラッと並ぶ、サッカーやラグビーの「ワールドカップ」のようなビッグイベント開催はもはや不可能だろう。この由々しき問題が、未来のスポーツの火を消さないことを願いたい。

(風吹啓太)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
3
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き