白黒つけるためなら明日の朝までやる。そんなスタンスで「ベースボール」をやっていた、米国のMLBがタイブレーク制を導入したのは2023年。
延長戦に突入後は、毎回2塁に走者を置いて決着がつくまで続けるというのがMLB式タイブレークだが、野球記者は「反応は上々」だという。
「以前のMLBは決着がつくまで永久に続けるルールでした。ところが、投手が足りなくなり、途中で野手が登板することや、シーズン終盤になると20連戦などの殺人的スケジュールが登場しますから、とにかく選手の負担軽減という意味では歓迎されていますね。MLBがタイブレーク制を恒久的に継続すると発表したのは当然の流れでした」
このタイブレーク制が、ついに日本のプロ野球にも来シーズン以降、導入されそうなのだ。
6月24日、日本野球機構(NPB)と12球団が「延長タイブレーク制」の導入を検討することが判明した。前出の野球記者がその背景を説明する。
「ここ数年、野球界のテーマは『時短』です。選手の入場曲の時間をきっちり10秒以内と定めたり、MLBで導入されているピッチクロックの今シーズンからの導入検討がなされました。そして、今度はタイブレークです。現在の延長12回で打ち切りのルールにタイブレークを重ねるのか、延長のイニング数を取っ払うのかは不明ですが、時短キャンペーンの流れ的には、延長12回打ち切りでタイブレーク導入という方向性だと思われます」
今シーズンからの導入は見送られたピッチクロックだが、採用は不可避と言われている。ところが今回のタイブレーク制については 報道直後からファンの拒絶反応がすごいのだ。直後にSNSに投稿されたコメントを簡単に並べると以下のようになる。
「タイブレークよりセ・リーグのDH制のほうが先」
「防御率とか打点とか個人タイトル争いの公平性がなくなりますね」
「土日のナイターが減ったのになぜそこまで時短にこだわる?」
「これ、実は強いチームが勝つルールだよね」
「どうせバントから始めるんでしょ?つまんねー」
「先発は中6日だし、メジャーほど過密日程でもないのに甘えすぎ」
「そんなに短くしたいなら9回引き分けでエエやん」
「ファンは何時間やってくれてもかまわないんだけど」
などなど、これらはほんのごく一部だが、総じて好意的な反応はゼロに近いのだ。前出の野球記者が、あとを引き取って言う。
「ファンは様々な角度から導入に反対しているようですが、特に多いのは、勝率で順位を争っているなら9回引き分けのほうがスッキリするというものでした。そもそも、現在の延長12回で打ちきりという制度の評判はよくありません。MLBと比べて、中途半端という声が圧倒的に多かった印象です」
もしも、ピッチクロックとタイブレーク制の同時導入なんて事態になったら、それこそ選手への負担が増えそうだが…。
(飯野さつき)