今年9月の自民党総裁選を控え、「反岸田」の機運が高まっている。6月21日には首相官邸での記者会見で、次期総裁選への意欲を示した岸田文雄首相だったが、その2日後、菅義偉前首相は、自らが出演したオンライン番組で総裁選について、
「自民の刷新の考え方を国民に理解してもらえる最高の機会」
と発言。あえて「刷新」という言葉を使うなど、「事実上の退陣要求」を突き付けた形だ。
毎日新聞が6月22日と23日に実施した世論調査によれば、岸田内閣の支持率は17%。12カ月連続で30%割れの、致命的な不人気を晒している。
そんな「超不人気の理由」を徹底解説したのは、京都大学大学院の藤井聡教授だった。口髭がトレードマークで、第2次~第4次安倍晋三内閣で内閣官房参与を担ったことでも知られる言論人である。
6月22日放送の「東京ホンマもん教室」(TOKYO MX)に出演した藤井教授は「なぜ岸田首相は不人気なのか?」と記されたフリップを手に、分析を行った。
最初に藤井氏が挙げたのが「火の玉なのに、政治資金領収書10年後公開・黒塗りあり」。自民党の裏金問題について、岸田首相が「国民の信頼回復のため、火の玉となって先頭に立つ」と述べていることに触れると、
「やってることが、まあショボい!」
とバッサリ。返す刀で、
「これが見てる人がイラッとする」
「火の玉で黒塗りて、どんな火の玉やねん」
「特に女性がこういう男にムカツクんちゃうかな」
岸田首相の優柔不断ぶりを、ブッタ斬ったのである。
この6月から実施されている定額減税で、事務負担増が問題になっている「減税分の給与明細への明記義務」についても、
「でも、このオレが減税したってことを、お前達の給与明細に書けよな!」
と岸田首相のモノマネをしながら、こう指摘。
「増税メガネから、恩着せメガネになった」
さらには「25カ月連続実質賃金下落」や「公約反故」を挙げた藤井教授。最後に「いちばん嫌われる理由」として「国民の声を聞く気も辞める気も何もない、その態度」を挙げたのだった。
そんな藤井教授が「日本復活の方策」を熱弁するひと幕があった。政治ジャーナリストが語る。
「6月23日、都内で自民党・西田昌司議員、立憲民主党・原口一博議員、れいわ新選組・たがや亮議員、評論家の三橋貴明氏を交えたシンポジウムが行われました。ここで藤井氏は、政治を『山登り』に、不況を『病気』にたとえて『山登りしようと思ってるのに、病気になってしまった』と表現。『でもそこに、消費税減税って薬があるんですよ』『薬あるんやから飲めよ!』と景気の浮揚には消費税の減税が欠かせないと訴えていました」
藤井教授の諫言と庶民目線の分析を、「聞く力」自慢の首相はどう受け止めるか。
(川瀬大輔)