梅雨というのに暑い。今からコレでは、今年の夏本番が思いやられる。ましてや観客が密集する夏フェスでは、昨年以上の高温が今から心配されている。
その杞憂が当たってしまったのが、6月25日にデビュー46年を迎えたサザンオールスターズの重大発表。今夏をもって「夏フェスを卒業する」というのだ。
サザンは今年25周年を迎える「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」の最終日(9月23日)に大トリで登場することが決まった。これに桑田佳祐はこんなメッセージを寄せている。
〈我々高齢者バンドにとって、令和の夏は暑すぎるよ。一旦、サザンは今回で卒業させていただき、後進の素晴らしいミュージシャンたちに日本の夏フェスの未来は託したいと思います〉
桑田が「令和の夏は暑すぎる」とこぼすのも当然だ。昨年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024」5日間の最高気温はそれぞれ34度を超えた。初日の8月5日の最高気温は34.4度、湿度81%、無風で終日晴れ。
夏は湿度が10%上がると、体感温度が1度上がるといわれる。湿度81%で無風、観客の熱気と体温がこもるムンムンのライブ会場の体感温度は、39度を超えていたと思われる。
そんな昨年よりさらに気温が高くなると見込まれる今年。推しのバンド以外の時は室内か風通しのいい日陰で休んでいないと、命にかかわる。
出演者ともなれば音響設備とモニター、照明の余熱でステージ上の体感温度は40度超え。サザンの夏フェス卒業は「勇気ある撤退」だ。
ひたちなか海浜公園公演の最終日、「暑さ寒さも彼岸まで」の秋分の日の振替休日。日没後の大トリとしてのサザン登場は、メンバー全員が70歳の古希までカウントダウンに入ったサザンへの、主催者による最大限の配慮と敬意だろう。
夏フェス主催者は様々な熱中症対策の情報を提供しているが、熱がこもるライブ会場から離れたといっても、フードや物販の屋台で長時間並ぶだけで体力を削がれる。凍らせた飲むゼリーを複数個、氷をたくさん入れた水筒、塩分補給のタブレットや飴、そして目から紫外線が入ることによる疲労を防ぐサングラスは必携だろう。
昨年8月19日と20日にZOZOマリンスタジアム&幕張メッセで開かれた「サマー・ソニック2023」では、最高気温35.2度を記録し、100人以上が熱中症を訴えた。人工芝への影響を考慮し、スポーツドリンクを持ち込み禁止にしたことでより重症化、多くの犠牲者を出して、飲料の持ち込みルールが見直された。ミネラル分と糖分を補給できるスポーツドリンクは必ず2本以上、持参してほしい。
(那須優子)