日本時間の7月1日深夜にポーランドで行われた、男子バレーボールのネーションズリーグ決勝戦は、国民の期待にあと一歩届かず、男子日本代表は「銀メダル」となった。
それでも、主要大会で日本が決勝に進出したのは52年ぶり。間違いなく快挙といっていい、この「銀メダル」を選手たちはほとんど喜んでいなかった。その様子に世間の反応は複雑だったと、スポーツライターが振り返る。
「世界ランキング2位の日本が同5位のフランスにセットカウント1-3で敗れたわけで、現在の格からいえば手放しで喜べないのは確かです。試合終了直後は、選手と同じで『悔しい』『ガッカリ』という声がありました。特に多かったのは、ひと足先の6月23日に終了した女子のネーションズリーグを引き合いに出し、『これだけ強いのに(銀メダルだった)女子と同じはちょっと切ない』と、決して女子バレーを下に見ているわけではないですが、男子バレーの壁の高さを痛感したという声が目立ちました。世間は間違いなく、現在の男子代表を歴代最強だと信じてますから、期待感が大きかったのでしょう」
とはいえ、試合から時間が経つにつれて、52年ぶりの快挙を称える声や、本番のパリ五輪へのエールが増していったようだが…。
7月1日朝の情報番組は、この男子バレー銀メダル獲得のニュースを取り上げた。だがここでもやはり、空気は重たかった。前出のスポーツライターが苦笑混じりに言う。
「例えば『めざまし8』(フジテレビ系)では、あまり選手や世間が喜んでいない空気に、弁護士の橋下徹氏が『これ、約50年ぶりのことじゃないですか。もっと大喜びしちゃダメなんですか?』と言えば、MCの谷原章介は『2位もいいんですよ』と、無理やり盛り上げようとしたことで、さらに微妙な空気を作り出していました。ですが、プロフィギュアスケーターの村上佳菜子は、選手たちが悔しいと言うのでファンが同じ気持ちになっていると、そのものズバリを語って一件落着です。『本人たちのこれだけの意識の高さに、私たちが圧倒されているんだと思います』というコメントは、さすが五輪出場選手だと、視聴者が腑に落ちたようです』
稀代のエース石川祐希が、銀メダルに満足しているはずはない。それゆえ「前哨戦」の銀メダルを称えつつも悔しがり、そして本番のパリ五輪で悲願の金メダル獲りへ。むしろ今回の準優勝で、日本中が待ち望んでいる感動ドラマが完成しつつある気がしてならない。
(飯野さつき)