メジャーリーグは6月を終えて、ア・リーグの打率トップはエンゼルスのレンヒーフォ(3割1分7厘)。それをヤンキースのジャッジが猛追しているが(3割1分3厘)、実は「影の首位打者」がいた。ガーディアンズのスティーブ・クワンだ。現地メディア関係者は、こう評する。
「一昨年の新人王投票で3位、ルーキーイヤーにはいきなり、ゴールドグラブ賞に選ばれました。走攻守が揃った逸材です」
今年9月に27歳になる新星の打率は、3割7分1厘。日本時間7月3日からのホワイトソックス3連戦中に、規定打席に到達する。現地メディア関係者が続ける。
「ジャッジは三冠王を狙っているので、首位打者争いでも負けたくないと思っています。一昨年、地区シリーズでヤンキースとガーディアンズが対戦しています。ガーディアンズ打線で22打数9安打と孤軍奮闘したのがクワンでした」
クワンは前回WBCの候補として、NPB(日本野球機構)がリストアップしていた。父は中国系アメリカ人、母は日系アメリカ人。母方の祖父母は、第二次世界大戦後にアメリカへと移住してきた。最終的にはカージナルスのラーズ・ヌートバーだけが選ばれた。
「侍ジャパン入りを見送られたのは、規定を満たさなかったためと聞いています。詳細は分かりませんが、きちんとメジャーリーグ機構に働きかければ、クリアできるはず」(メジャー関係者)
クワンは「ベイビー・イチロー」と呼ばれている。イチローを彷彿させるスピードプレーヤーであり、バットに当てることに関しては「本家以上」との声が聞かれる。
ジャッジは両リーグトップの30本塁打を記録しており、ナ・リーグのドジャース・大谷翔平は26本塁打。日本では2人の本塁打争いばかりが報じられるが、山形県に先祖を持つクワンの首位打者争いにも関心を注ぎたい。
今秋はプレミア12大会がある。NPBの主力打者は打撃成績を落としており、苦戦が予想される。きちんと交渉してクリアになるのであれば、「ベイビー・イチロー」の侍ジャパン入りを検討してもらいたい。
(飯山満/スポーツライター)